那覇市長初当選の知念さん、翁長元市長の言葉を胸に 喜びと決意「市民のため即行動」   

  新たな沖縄県那覇市長は無所属新人で前那覇市副市長の知念覚さん(59)に決まった。無所属新人で前県議の翁長雄治さん(35)との一騎打ちを制し、知念さんは喜びを爆発させた。敗れた翁長さんは険しい表情を浮かべ支持者に頭を下げた。 
 ▼当選した知念氏のプロフィル
 23日午後10時55分、報道各社の当選確実が次々と報じられると、那覇市牧志にある知念さんの選挙事務所は喜びに沸いた。38年間の行政実績から「即戦力のリーダー」として市民の信任を得た知念さん。「全ての市民が心を一つにできる市政をつくる」という目標に向け、大きな一歩を踏み出した。

 高校卒業後、憧れの職場だった那覇市役所に採用された。転機は2000年。故翁長雄志さんが那覇市長に初当選した際、秘書に起用された。手腕を認められ、秘書広報課長、総務部長、政策統括調整監と要職を歴任した。「先を読んで布石を打つ」など、行政運営について翁長さんから多くを学んだ。

 「覚を頼む」。現職の城間幹子市長は、翁長さんからそう言われ、副市長に起用した。知念さんは毎日、「この判断は市民のためになっているか」と苦悩しながら、市を「経営する」力を磨いたという。「市民生活をさらに良くするには政治の力が必要で、自らが実行すべきだ」と出馬を決めた。

 自民、公明の推薦を受けたが「市民党」として選挙を戦った。選挙中、「(支持者が)互いの考えを少しずつ譲りながら集まり、大きな輪になっている」と感じた。自公にとどまらない保守中道層に支持を広げられたと自負する。

 4年前に息子を亡くした。妻の代里子さん(58)や息子の妻と共に残された孫を育てている。「良いこともあれば、立ち直れないほどつらいこともあった」という自身の経験から「市民が困った時に寄り添い、最善の支援につなげる役所」を目指す。「私は次のことしか考えていない。那覇市に求められているものは、待ったなしだ」と力を込めた。

 (伊佐尚記、稲福政俊)

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