倉敷中央病院(倉敷市美和)は、患者から採取した血液などの検体を医療スタッフに代わりロボットが運ぶ実証実験を始めた。28日まで人員が手薄な夜間に稼働し、検査室まで正確かつ安全に搬送できるかを検証する。
自動走行ロボットによる本格的な実証実験は同病院では初めて。将来の働き手不足に備え、導入の可能性を探る狙いで企画した。
機械メーカーのシンフォニアテクノロジー(東京)などが今年3月に開発した。高さ約1メートル20センチ、幅約50センチで、胴体部分に検体を入れる荷室が設けられている。センサーで人や障害物を検知・回避しながら、人の早足とほぼ同じ時速約4キロで移動できる。正面の液晶パネルにロボットの“顔”や行き先を表示する。
実証実験は1階の救命救急センターと2階にある検査室までの約350メートル間で実施。平日の午後10時から翌日午前8時まで10時間稼働し、主に救急患者の検体を運ぶ。
職員が常時付き添い、人が近づいた時に自動で避けたり停止したりできるか、迷わず検体を届け、元の場所に戻ってこられるか―といった点を確認していく。ロボットには本来、自動でエレベーターを呼び出す機能があるが、実験段階では職員が操作に当たる。
検体はこれまで看護師らが検査室に運んでいた。夜間はスタッフが少なく、急患が殺到した時には負担が増していたという。
同病院の和田龍夫ロジスティクス部長は「作業負担の軽減効果を確認するとともに、ロボットが新たな働き手として活躍できるかといった視点でも評価したい」と話している。