元F1ドライバーのティモ・グロックが10年過ごしたBMWから離脱。裏話は「本にでもしようかな」

 10年にわたってBMWのファクトリードライバーを務め、主にDTMドイツ・ツーリングカー選手権などで活躍してきたティモ・グロックが、先週末にムジェロで行われたイタリアGT選手権の2022年最終戦をもって、BMWを離れることが明らかにされた。

■「本当に楽しむことができた」クラス1車両

 現在40歳のグロックはトヨタやヴァージンからF1世界選手権に出場した後、2013年にBMW陣営へ加入すると、以降はDTMを主戦場として活動してきた。

 また、2015年のスパ24時間レースでは、アレックス・ザナルディ、ブルーノ・シュペングラーと組んでBMW Z4 GT3で参戦。さらにデイトナ24時間、バサースト12時間、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパのエンデュランスカップなどの耐久レースにも、BMWの車両で参戦した経歴を持つ。

 BMWのDTMマシンでじつに148戦に参戦したグロックは先月、契約更新が行われないことを知らされたとソーシャルメディアへの投稿で示唆している。

「BMWモータースポーツ、世界中の夢のような最高のレーストラックで10年間を一緒に過ごしてくれて、ありがとう」とグロックはインスタグラムに投稿している。

「DTMでは、素晴らしいクラス1マシンとともに過ごした濃密な時間、そして素晴らしい勝利と表彰台を、本当に楽しむことができた」

「アレックス・ザナルディと走ったスパ・フランコルシャン24時間レースは、間違いなくハイライトのひとつだ。決して忘れることのできないレースのひとつだ」

「また、2018年のホッケンハイムリンクでのゲイリー・パフェットとの象徴的なバトルは、誰もが覚えていると思う。あれを見た人は皆、僕がいまもこのスポーツに燃えているし、これからもずっとそうだということを知っているはずだ」

「いま、前に進むべき時がきた」

「この旅のキーパーソンだった(元BMWモータースポーツ・ボスの)イェンス・マルカルトに特別な感謝を捧げたい。この10年間の、BMWのチームメイトたちにも感謝している。話すべきストーリーはたくさんあるけど、あとで……本にでもしようかな」

 グロックは2022年、BMWイタリア・チェカート・レーシングからイタリアGT選手権に参戦しており、DTMではイモラで1度だけ同チームから参戦し、第1レースでリタイアしたものの第2レースで11位完走を果たしている。

グロックがブルーノ・シュペングラー、アレックス・ザナルディと組んで出場した2015年のスパ24時間
ゲイリー・パフェットとのバトルを制した2018年のDTMホッケンハイム戦

 BMW Mモータースポーツの責任者、アンドレアス・ルースは「ティモ・グロックの10年にわたる素晴らしいコラボレーションに感謝している」とコメントを発表した。

「とくに2020年までのDTMへのワークス参戦では、多くの成功と感動を分かち合うことができた」

「ティモは、2018年のホッケンハイムでのゲイリー・パフェットとのバトルを含め、DTMでいくつかの素晴らしい勝利を収め、印象を残した。彼のスキルと個性によって、彼は絶対的な寵児となり、コース上でもコース外でもブランドの顔として圧倒的な存在感を示した」

「我々は、ティモの今後の活躍とさらなる成功を祈っている!」

 BMWは、先に発表されたレネ・ラストに加え、チームWRTを中心に来季はさらに多くの新ドライバーをファクトリーラインナップに迎えるものと理解されている。

イェンス・クリングマンとともに2022年のイタリアGT選手権に参戦したティモ・グロック

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