生後3カ月の娘死亡…顔骨折するも無理やりミルク流し込んだ父 肋骨も骨折 病院に連れて行かず懲役10年

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 2020年9月、生後2~3カ月だった娘に適切な医療処置などを受けさせなかったとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の埼玉県美里町関、無職金井裕喜被告(31)の裁判員裁判の判決公判が24日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれ、北村裁判長は懲役10年(求刑・懲役11年)を言い渡した。

 判決理由で北村裁判長は、金井被告が娘への授乳方法に試行錯誤し、ミルクを無理やり流し込むなどしたと指摘。娘の体重が増加しないことを日々、認識していたのにもかかわらず、「状況を楽観視し、誤った方法での授乳を試みるばかりで、死亡に至るまで1カ月の間、治療を受けさせなかった。態様は完全に悪質である」と述べた。

 また、金井被告は娘を病院に連れていくタイミングが何度もあったが、虐待による逮捕を恐れ、連れていかなかったと指摘。「自らの保身を優先した身勝手な考えは、厳しい非難に値する」とした。

 弁護側は、病院に連れていかなかったことに対し、「病院に連れていくまでのこととは思っていなかった」などと主張していた。

 判決によると、金井被告は妻のあずさ被告(29)=同罪などで起訴=と共謀し、20年8月ごろ、娘が下顎骨折に伴う下顎歯槽挫裂創により哺乳困難になり、体重が増加せず、同年9月上旬ごろには肋骨(ろっこつ)骨折していたのにもかかわらず、医師への診断など生存に必要な保護を与えず放置し、同年9月11日ごろ、低栄養失調に伴う免疫力低下によって生じた菌血症による全身機能障害により死亡させた。

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