2017年、倉敷市老松町に倉敷老松三丁目 カフェ庭がオープンしました。
ていねいに手入れがされた庭が印象的なカフェが、2022年10月に店名を変えることに。
新しい名前はcafe「庭とブンガク」。
変わったのは店名だけでなく、店内を改装しメニューを一新したとのこと。
ますます魅力が高まったカフェへ取材に行きました。
店名を変え、改装しリニューアルオープン
店の看板が以前の緑色から白ベースになった以外、外観は変わっていません。
昭和の建物をリノベーションしたカフェで、外観からも落ち着いた雰囲気が伝わってきます。
では、改装して大きく変わった店内を紹介しましょう。
入り口正面の部屋は、お客さんが必ず通るところです。
中に入ると、見上げる高さの大きな本棚が迎えてくれました。
以前あったテーブル席はなくなり、大きな本棚の反対側にソファ席があります。
ソファ席の隣にも本棚が。
誰に聞かなくとも店名の「ブンガク」は、これらの本を指しているとわかりますね。
本棚の本は、自由に読んで大丈夫とのこと。
レジ横にはショーケースと商品棚ができていました。
店のひとがDIYで作ったんだそうです。
ショーケースにはプリン、棚にはクッキーやフィナンシェなどの焼き菓子が。
好きなお菓子を買って帰れるのはうれしいですね。
本棚と同じくらい注目してほしいのが、庭に向かって設けられたカウンター席。
以前はテーブル席で、庭を横目で見る配置でした。
メリットは庭を眺めながら、ゆったり食事ができるだけではありません。
カウンター席があることで、ひとり客でもぐっと行きやすい店になりました。
4つある個室はすべて、ひと部屋一組に。
空間的にも時間的にもぜいたくな時間が過ごせそうですね。
カフェメニューを食べました
内装が大きく変わり、さらにメニューも変わりましたよ。
メニュー
▼ランチメニュー。午前11時から午後3時(ラストオーダー午後2時)までの提供です。
以前は丼ぶりものが中心でしたが、定食スタイルに。
▼スイーツメニューは営業時間中いつでも食べられます。
ハンバーグ定食
ランチのハンバーグ定食を食べました。
ハンバーグに味噌汁、小鉢が3つ、白ごはん、漬物、果物があります。
小鉢は日替りだそうです。
ごろっと大きな煮込みハンバーグは見た目に反して、ふわふわでした。
箸ですっと切れるほどの柔らかさ。
ソースがしみていて、白ごはんがパクパクすすみました。
おかずが少しずつで、品数が多いのってうれしいですよね。
いろいろな味を楽しめて、なんだか得した気分になります。
店内を流れるクラッシック音楽に耳を傾け、庭を眺めながらのランチ。
なんて幸せな時間なんでしょう。
固めプリン
旧カフェ庭時代から人気のプリンは「なめらか」と「固め」の2種類があります。
最近はレトロブームの影響か、映えを求めてか、固めのほうが人気なんだそう。
たしかに、見た目がかわいくないですか?
昭和感ただようレトロなプリンは、昭和の建物と日本庭園にマッチしています。
どうして、さくらんぼがあるとレトロ感が増すんでしょうか。
つい写真を撮りたくなるかわいさですよね。
生地はしっかりしていますが、口にいれるとなめらか。
すっと溶けていきます。
チーズケーキ
チーズケーキもおすすめとのことで、食べました。
無駄のないシンプルなフォルムです。
このチーズケーキ、筆者が今まで食べたこともない特別なケーキでした。
レアチーズケーキとベイクドチーズケーキのいいとこ取りをしたような味と食感がするんです。
表面はベイクドチーズケーキのようにしっかりと焼かれて固いのですが、中身はねっとりと、まるでレアチーズケーキのよう。
ケーキ3つを1つにしたかと思うくらい、ぎっしり詰まっていて驚くほど濃厚です。
底はクッキー生地でした。
店名、メニューを変えて、改装をしたcafe「庭とブンガク」。店長の中原詳介(なかはら ようすけ)さんに話を聞きました。
JR倉敷駅から徒歩圏内の倉敷市老松町にある「庭とブンガク」。
改装して、手入れされた日本庭園を眺めながら食事できる席ができ、大きな本棚が置かれ、個室はよりゆったり過ごせる空間になりました。
店主の中原詳介さんにインタビュー
なぜこのタイミングで店名を変えて改装したのか。
カフェの店主 中原詳介さんに話を聞きました。
インタビューは2022年10月の初回取材時におこなった内容を掲載しています。
店名を変えた理由
──店のオープンは2017年ですが、なぜこのタイミングで店名を変えたのですか。
中原(敬称略)──
店名を変えた一番のきっかけは、デザイナーの桑田靖久(くわだ やすひさ)さんに店のロゴ作成をお願いしたかったんです。
そのかたは、自分のペースで制作を進めるかたで。
2017年のカフェオープン時はスケジュールが立て込んでいましたし、桑田さんにロゴをお願いしても間に合わないだろうなと諦めました。
ロゴができるのをこちらが待つようにしたかったんですよ。
桑田さんの作るものがすごく好きなんです。
オープンの時は見送ったんですけど、お店をやっているうちに、やはり桑田さんにお願いしたい気持ちが強まって。
そこで今回ロゴ作成をお願いすることに。
ロゴしか頼んでないんですけど、デザートのお皿やメニュー、ポスターまで作ってくれました。
──中原さんと桑田さんの関係は?
中原──
僕が福山市のバーで働いているときに知り合いました。
桑田さんが酔っぱらっているときに書く落書きが好きで。
桑田さんはカチッとしたものや手書き風のラフなものまで描かれます。
店のロゴのために、できるだけ落書き風のデザインをたくさん書いてもらって、そこから選ぶようにしたんです。
2008年に独立して美観地区で、三輪車でケーキを売っていたときがあるんです。
そのときも桑田さんにロゴをデザインしてもらっていて。
あの時代はまだSNSがなくて、どう宣伝していいか分からず四苦八苦しながらブログを書いていました。
──なぜ店名をcafe「庭とブンガク」に?
中原──
本が好きなのと、この建物が昭和の古い家屋と考えたときに、昭和とブンガクって合っているなぁと。
漢字で文学と書くとかっちりしていますよね。
「文を楽しむ」のか「文を学ぶ」のか、どちらの意味にも取れるようにしたくてカタカナに。
どちらかといえば「文を楽しむ」なんですけどね。
改装して店での過ごしかたが変わった
──改装は、店名を変えるのに合わせてですか?
中原──
以前、お子さま連れの受け入れをしていたときには、物を倒して子どもが怪我したら大変なので、置かないようにしていました。
子どもがいると大きい本棚は危ないじゃないですか。
お子さま連れの受け入れをやめたときに、いろいろ物を置いても大丈夫だなと。
それで本棚を置きました。
──本は私物ですか?
中原──
はい、私物ですね。
本のジャンルはさまざまですが、基本的には哲学的なものが好きなんです。
司馬遼太郎、太宰治、宮沢賢治を読んでも物語には目的と結果があって、心の在りかたを、と言えば哲学的になって。
ひとの生きかたが書かれたものが好きですね。
なので歴史ものも好きです。
漫画なら気軽に読めるかなと、こちらも置いています。
──庭が見えるカウンター席ができましたね。
中原──
カウンター席を作ってよかったです。
お客様に好評で。
ひとり客でも来やすくなりました。
実際、僕もひとりでお店に行くことが多かったので、そういう店があるのは大切だなぁと。
庭も改装中で、これからまだまだ変わっていく予定です。
梅を1本、もみじを2本、苔を植えて。
なにごとも長い目でという感じでのんびり変えています。
電球をつけて、夜でも少し庭が見えるようになりました。
お米を味わうメニューに
──メニューも以前と変わりましたね。
中原──
ステーキ丼、ロコモコ丼など、前は丼ぶりが多かったんです。
定食に変えた理由が、お客さんにもっと純粋にお米を楽しんでほしいと思って。
倉敷米肥さんのお米を使っているんですけど、とにかくていねいに保管をされています。
保管をするときに温度管理をすると、お米が劣化せず、味が落ちないんです。
当店のために、独自にお米をブレンドしてくれています。
そのお米を楽しんでいただきたいから、おかずと分けたほうがいいかなと。
定食にするにあたり、満足度が高まるようにおかずを増やしました。
ゆったりと過ごせる店にしたい
中原──
倉敷アフタヌーンティーもおすすめです。夏と冬のイベント期間中に参加しています。
時間的にも空間的にもぜいたくに過ごしてもらえたら。
きっとカフェ好きなかたは、お茶を飲んでゆっくり過ごしたいじゃないですか。
カフェをする側もそのように過ごしてほしいと思っています。
でもそれだけではお店をやっていけないのでランチをしていますし、コロナ禍になって、テイクアウトに力をいれるようにも。
店の価値やブランドが高まっていると、インターネット販売で売れると思います。
店内飲食以外でも販売できると、僕の理想の、ゆったりとお茶だけ飲む店でも経営が成り立つのかと。
今後インターネット販売を考えているのでお楽しみに。
おわりに
日本庭園と本に囲まれたcafe「庭とブンガク」。
店名もロゴもメニューも内装も変わって、よりゆったり過ごしやすいカフェになりました。
クラッシック音楽に耳を傾け、庭を眺めながら好きな本を手に取って、思い思いの時間を過ごすのも良さそうです。
ランチに、スイーツを食べに、アフタヌーンティーしに、cafe「庭とブンガク」へ行ってみませんか。