熊野高校に紀州材香る講堂完成 創立100周年で建て替え

100周年記念式典を前に完成した、熊野高校の講堂(和歌山県上富田町朝来で)

 今年、創立100周年を迎えた熊野高校(和歌山県上富田町朝来)で、県が建て替え工事をしていた講堂が完成した。紀州材を用いた木造建築で、町内の学校演習林で育った木材も使用されている。左近晴久校長は「熊野高には多くの木があり緑が豊か。木造の講堂は、そんな周囲の環境とも調和している。使い勝手が良い広さで、積極的に活用したい」と話している。

 旧講堂は、1956年建設の鉄筋コンクリート一部2階建てだった。老朽化により、建て替えを求める声を受けて県が工事を進めていた。

 旧講堂を取り壊し、その跡地に建てた。床面積は旧講堂と同規模の790平方メートル。県が推進する紀州材の活用方針に基づいた木造建築で、解体や設計費を含む総工費は約3億2千万円。

 熊野高は1923年に西牟婁農学校として始まり、今年100周年を迎えた。これまで熊野林業学校(1924年~)、熊野農林学校(46年~)と改称し、48年に現校名になった経緯があり、林業を学ぶ学校としての歴史が長い。新しい講堂では、壁の一部などに学校演習林で育った約70年生のスギやヒノキが使われている。

 さらに、屋根を支える天井部分の骨組みには無垢(むく)の紀州材を使用。内部の柱や壁を取り払うことができる「木造トラス工法」を採用し、木造でありながら広い空間を確保している。

 旧講堂と同じく、空手などの部活動や体育の授業、集会などの場として使用していく。学校関係者は、創立100周年の節目での完成を喜んでいる。

■11月18日に記念式典

 同窓会や学校、PTA、学校を応援する「熊高教育協議会」でつくる、百周年記念事業実行委員会が20年10月に組織され、記念誌作成などのさまざまな取り組みを進めている。

 11月18日には、関係者約100人を招き、学校近くの上富田文化会館で記念式典を開く。セレモニーとして、広島県立熊野高校との姉妹校提携調印式などを予定している。

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