タイトル防衛へ自力で望みを繋いだF.クアルタラロ「最終戦で決着をつけるために全力で戦った。僕は諦めない」/第19戦マレーシアGP

 10月23日、2022年MotoGP第19戦マレーシアGP MotoGPクラスの決勝がマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われ、18戦終了時点でランキング2位につけていたファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は3位表彰台を獲得して、タイトル争いを最終戦へと持ち込んだ。

 前回の第18戦オーストラリアGP終了時点でポイントリーダーがフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)に入れ替わり、クアルタラロは14ポイント差で2位となり、追われる立場から一転、追う立場へと変わった。

 クアルタラロはFP3で総合7番手を獲得してダイレクトで予選Q2へと進んだが、予選前のFP4では転倒した際に左の中指と薬指を地面についてしまい、その後の検査で骨折していることがわかった。痛みは走りに影響はないと語っていたが、クアルタラロは予選Q1を突破してきたバニャイアより後方の、12番手で終えることとなった。

FP4で痛めた指を冷やすファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)/2022MotoGP第19戦マレーシアGP

 ドライコンディションで始まった決勝では、クアルタラロは抜群のスタートで5番手に浮上し、前を走る3番手スタートのマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)を早々にパスして4番手に浮上する。何としても自力でタイトル争いを最終戦へと持ち込みたいクアルタラロは序盤から、好調な走りを見せ、レース終了後には「とくに最初の数ラップはシーズン最高の走りだったと思っている」と語っていた。

ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)/2022MotoGP第19戦マレーシアGP

 しかしその後、クアルタラロは前を走る3台のドゥカティ勢を追いかけるが、7周目にトップを快走していたホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が転倒したことにより、バニャイアがトップへと変わってしまう。バニャイアが優勝した際、クアルタラロは最低でも3位以上を獲得しなければ、バニャイアのチャンピオンが決まってしまうので、これ以上順位を落とすこともミスすることも許されない状況だった。

 そんななか、マルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)がクアルタラロのすぐ後ろに迫っていた。しかし、クアルタラロは終盤までハイペースをキープし、ベゼッチの追撃を振り切り、粘り強い走りを見せて3位を守り切った。そんなクアルタラロはレースを次のように振り返った。

ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)/2022MotoGP第19戦マレーシアGP

「気分はいい。表彰台は久しぶりだからね。今日は最大限の力を注いだよ。でもこれ以上のことはできなかった。最大のライバルが活躍したけど、僕自身も最後はいい走りができたので満足しているよ」

「少なくともタイトル争いをバレンシアまで持ち越すことができたからね。チャンスはほんのわずかだけど、最終戦でチャンピオン争いに決着をつけるために全力で戦ったんだ」

ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)/2022MotoGP第19戦マレーシアGP

 昨年のチャンピオンであるクアルタラロが渾身の走りを見せつけ、3位表彰台を勝ち取ったことにより、優勝したバニャイアのタイトル獲得を阻止し、自力で望みを繋げ、タイトル争いを最終戦へと持ち込んだ。タイトル争いに関しては「たとえ今、僕らが(タイトルの可能性から)遠くてもにいたとしても、僕はあきらめないし、バレンシアではいい形で終わりたい」

「タイトル争いをするには、唯一勝つしかないとわかっているから、狂ったように(念入りに)準備する。だからどうということはないけれど、バレンシアはシーズン最後のレースだから楽しみたいし、楽しまないといけないという思いだよ」

 このように、決して諦める姿は一切見せておらず、最終戦に向けて意気込んでいた。11月4〜6日には最終戦となる第20戦バレンシアGPが開催されるが、バニャイアと一騎討ちで争われるチャンピオン争いで、クアルタラロは2年連続チャンピオン獲得となるだろうか。

ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)/2022MotoGP第19戦マレーシアGP

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