山際大志郎前経済再生担当相(衆院神奈川18区)更迭の余波は、一夜明けた25日の国会に広がった。野党は「『秋の山寺』から残るは『秋寺』」(立憲民主党幹部)と、事務所費賃料を巡る“脱税疑惑”が指摘されている秋葉賢也復興相、寺田稔総務相に照準を合わせドミノ辞任を狙う。岸田文雄首相は衆院本会議で異例の謝罪に追い込まれ、求心力低下は避けられない状況だ。
「おおっ、後藤さんが入閣だ!。ついに政権交代だ」。同日午前、国会内の野党控室に歓声が響いた。そのころ報じられたのは、山際氏の後任の経済再生相に自民党の後藤茂之前厚生労働相が就くとのニュース。これを、同姓の立民の後藤祐一氏(衆院16区)が「大臣になる」との冗談に変えたのだ。今回の一連の予算委員会における3大臣への追及ぶりが高く評価されていることをうかがわせた。
周囲が盛り上がる一方で、当の後藤氏は冷静だ。「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題もクローズアップされる中で脱税をはじめとした巨悪も逃げ切らせてはならない」とし、寺田、秋葉両氏について「当然、辞めていただく」とさらなる論戦を予告した。
自民は危機感を強めるが、後藤氏の後任起用には身内からも「イメージアップにつながらない」(党幹部)との本音が漏れた。政権内には「身体検査の整った経験者を充てるのが適役だ」(官邸関係者)と防戦一辺倒のムードが漂う。