新米おいしく炊くコツは 炊きあがり直後の一手間がポイント、福井の「五ツ星お米マイスター」が伝授

新米をおいしく食べてほしいと話す山本茂司さん=福井県福井市
米の拡大写真。粒にみられる縦横の白い線が、強い日光や雨風によりできたひび

 甘い香り、つやっつやの白い“肌”。今年もおいしい新米の季節がやってきた。ただ、せっかくの新米も洗い方や水加減を間違えたり、炊きあがった後の一手間を惜しんだりすれば台無しになってしまう。福井県内唯一の「五ツ星お米マイスター」に、おいしく炊きあげるポイントを教えてもらった。

 福井市で米穀店を営む同マイスターの山本茂司さん(73)によると、今年の県産新米は「地域差はあるが割れや砕けが少なく、日中と夜の寒暖差ででんぷんが熟成し味もいい」と太鼓判。一方、高温の影響で乳白色の粒が多め。これらは水分を多く含むため「白い粒が多ければ、水を少し減らすといい」そうだ。

米の洗い方、水の量

 「とぐときは『すすぐ』イメージで」と山本さん。乾燥した粒を顕微鏡で拡大すると、直射日光などの影響で、いくつものひびが入っているのが分かる。洗う度にここからうまみが逃げ出すという。近年は精米機の性能が良く、残っているぬかは少ないため「3、4回軽く洗い、表面の汚れを落とせば十分。水が少し濁った状態で止めてほしい」と強調する。

⇒【写真】粒にみられる縦横の白い線が強い日光や雨風によりできたひび

 水量は釜の目盛りを目安に、好みの硬さになるよう加減する。一般に新米は「水少なめ」と言われるが「米の乾燥具合による。白い粒が多ければ少なめ、基本は普段通りでOK」

炊飯器のふたはすぐ開けてもOK

 夏は30分、冬なら1時間ほど水に漬けスイッチオン。炊きあがりの音が鳴ったらすぐにふたを開け、内ぶたの水分をティッシュで拭き取りご飯をほぐす。

 山本さんは「ここが一番のポイント」と力説。内ぶたや粒同士の間にある水分が米に戻ると、変色や臭いが発生する原因になる。しっかりほぐして余分な水分を飛ばすことが重要。ほとんどの炊飯器は、蒸らしまで終えて炊きあがりの合図を鳴らしているため、すぐふたを開けてよいという。

 知らないうちに間違った手順を踏んでしまっている人は多いそうで「せっかくの新米をまずくするのはもったいない」と山本さん。一手間かけて「香りが良く、甘い新米を味わって」と話していた。

 ◇お米マイスター 一般財団法人日本米穀商連合会が認定する資格制度。米の品種特性や栄養学などを問う筆記試験に合格すると「三ツ星」、精米技術や玄米の鑑定などの技能試験に合格すると「五ツ星」に認定される。9月末現在、全国の「三ツ星」認定者は2145人、「五ツ星」認定者は476人。

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