スーパーフォーミュラ次世代車両がついに全貌を現す。新ボディワークでのテストがスタート

 10月26日、三重県の鈴鹿サーキットで全日本スーパーフォーミュラ選手権の次世代車両開発テストが開始され、新たな空力パッケージを装着した2台の開発車両が初めて日本のサーキットに登場、そのディテールが明らかとなった。

 全日本スーパーフォーミュラ選手権をプロモートするJRPは、『SUPER FORMULA NEXT 50(ゴー)』を掲げ、この先の50年もモータースポーツが持続可能であるよう、さまざまな取り組みを行なっている。

 新たなデジタルプラットフォーム『SFgo』の運用が開始されるなど、2022年はその“改革元年”ともなっているが、なかでも力が入れられているのが次世代車両の開発テストだ。

 今季はレース開催前後の各サーキットにおいて、トヨタエンジン搭載の通称『赤寅』、ホンダエンジン搭載の『白寅』を、それぞれ石浦宏明と塚越広大、2名の開発ドライバーが走らせ、燃料やボディカウル、タイヤなどで新素材を試してきたほか、より魅力的なサウンドを目指した排気音に関する試験、さらには接近戦実現と「速い者が抜ける」ことを目指した新たな空力パッケージの開発などが行われてきた。

 このうち、マシンの後方乱気流(タービュランス)の低減を狙った空力パッケージについては、これまでは既存の車両においてウイングを寝かせて追従走行を繰り返すことでデータの蓄積を図ってきたが、今回はそれらの知見を具現化した新デザインのボディワークがいよいよ実走を開始。鈴鹿に登場した開発車両により、その全貌が明らかとなった。

 新たなボディワークでは、前後ウイング、サイドポンツーン、エンジンカウルなどで、これまでのSF19とは大きく造形が異なっている。

新たな3次元形状となったフロントウイング。とりわけ翼端板周辺の造形がユニークだ
現行車両から大きく変更されたリヤウイング
現行車両から大きく変更されたリヤウイング
右側のサイドポッド・インレット周辺
左側のサイドポッド・インレット周辺。右側にはないミニウイングがモノコック脇に備わる
チムニーダクトが廃され、代わって上面に多くのルーバーが切られたサイドポンツーン周辺

 テスト初日となった26日の午前は、9時30分に走行セッションが開始。晴天の下、2台のテスト車両は2時間のセッションで精力的に周回を重ねた。午後には、追従走行も予定されているようだ。

 鈴鹿での開発テストは、27日までの2日間行われる。28日のJRP定例会見では、今回のテスト内容や次世代車両の導入に向けたロードマップ等に関しての報告がされる予定だ。

 また、この車両は29・30日に同サーキットで開催される2022年シーズン第9戦/第10戦『第21回JAF鈴鹿グランプリ』で、デモンストレーション・ランが行われる予定となっている。

新たなボディワークを装着して鈴鹿サーキットでテストを行うスーパーフォーミュラ開発車両
【比較用】現行のSF19のリヤビュー
新たなボディワークを装着して鈴鹿サーキットでテストを行うスーパーフォーミュラ開発車両
【比較用】現行のSF19のフロントビュー

© 株式会社三栄