アマゴを缶詰に 住民グループが商品化

アマゴの缶詰を持つ久田里敏行さん(和歌山県田辺市本宮町で)

 和歌山県田辺市本宮町の住民グループ「四村川活性化委員会」は、養殖しているアマゴを使った缶詰を商品化した。新型コロナウイルスの影響で需要が落ち込み、在庫が増えたことがきっかけ。アマゴの缶詰は全国的にも珍しいのではないかという。毎週土曜に開いている「よむら朝市」や、本宮町内の事業所で販売している。

 グループでは毎年、3万匹分の有精卵を仕入れ、ふ化させて全長20センチ弱にまで育て、本宮町内の宿泊施設などへ出荷していた。そこにコロナ禍が襲い、在庫がどんどん増えた。会長の久田里敏行さん(69)=本宮町渡瀬=は「以前は生産が追い付かないほどだったのに、コロナ禍に入ってからは冷凍庫を増やすばかりで、冷凍庫を置く場所にも困るようになった」と振り返る。

 今春、何か商品にできないかとメンバーらで話し合い、浮上したのが「缶詰」だった。常温で保存できて、冷凍庫のない店舗でも扱ってもらえるという点を評価した。製造は兵庫県の業者が担う。

 商品ができたのは8月。「バジルアヒージョ」味(75グラム)と「山椒醤油(さんしょうじょうゆ)」味(70グラム)の2種がある。道の駅「奥熊野古道ほんぐう」(本宮町伏拝)や土産店「樹の里」(本宮町本宮)で並べてもらったところ、バイクのツーリング客らに好評だという。

 久田里さんは「きれいな谷水で育ったアマゴの缶詰を、ぜひ一度味わってみてほしい」とPRしている。朝市で800円(税込み)で販売している。

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