Instagramで政治家と話そう 小泉進次郎議員(自民党)

Instagramで政治家と話そうって?

Facebook Japan社・イチニ株式会社主催、NO YOUTH NO JAPAN共同の企画。Instagram上のアカウント(@youthpoli_meeting)で政治家とNO YOUTH NO JAPAN代表の能條桃子がライブ形式の一対一の対話(Instagramライブ)を行います。

政治家と有権者が直接コミュニケーションを取る機会が少ない中、屋外での街頭演説ではなかなか聞けない素朴な疑問もInstagramライブという機能を使うことで気軽にぶつけることができます。

※なお、本記事ではInstagramで配信したライブの一部を書き起こしています。全編は、Instagramアカウント@youthpoli_meetingのアーカイブにて、ご覧ください。

小泉進次郎さんが登場!

NO YOUTH NO JAPAN 能條桃子(以下、能條):
こんばんは!今日は小泉進次郎さんがゲストに来てくださいます。よろしくお願いします。今はご自宅からですか?

小泉進次郎さん(以下、小泉)
そうです!今日はよろしくお願いします。

能條:
では簡単に自己紹介をお願いします。

小泉:
小泉進次郎です。民主党政権が生まれた2009年の選挙で、自民党の議員として初当選しました。2012年の政権交代で自民党が与党に戻ってからは青年局長、農林部会長そして厚生労働部会長を務めました。その後に環境大臣を安倍政権と菅政権で1年ずつの計2年間務めました。総務会長大臣をやり、今は国対副会長として安全保障委員会の担当をしています。

父の選挙の手伝いで感じた衝撃と、アメリカで過ごした3年。

能條:
2009年に初めて立候補されるまでは、どんなことをされていたんですか?

小泉:
立候補の直前は、私の父(小泉進一郎氏:当時)の秘書をやっていました。秘書の前はアメリカのシンクタンクで、さらにその前には同じくアメリカで政治学を学び大学院を卒業しました。渡米前に日本の大学を卒業しており、(高校時代には?)野球に没頭していました。

能條:
政治家になることは、かなり前から決めていたんですか?

小泉:
大学生の時に政治家になりたいという意思が固まり、父に告げました。政治家を親に持つ立場は一体どんなものなのか?と思う方もいるかもしれませんが、子供の頃は父が何をやっているのか分かっていませんでした。

家で政治の話をすることもあまりなかったです。むしろ野球の話や、父が動物が好きなので、NHKの動物番組を一緒に見たりしていました。父は子供との時間を大切にしてくれました。野球の試合に応援にきてくれたり、キャッチボールのためだけに国会議事堂から横須賀まで戻ってきたりしていました。

親がしっかりと自分を見て愛情を注いでくれました。その父親への感謝や尊敬の気持ちを持たなければ、親と同じ仕事の道には進みません。なので親に感謝しています。

能條:
なるほど、大学生の時に政治家になろうと思われた理由はなんですか?

小泉:
一つは、父が負けると言われた総裁選(2001年)に勝って総理大臣になった際に手伝っていたことです。その際に感じた衝撃と、国民の力によって自民党の派閥の論理が覆された瞬間を経験したことが大きいです。

能條:
なるほど、その時が大学生だったんですね。その時にはすでに、どんな日本にしていきたいといったイメージはあったんですか?

小泉:
当時は絶対海外に留学したいと思っていました。「日本にいたら日本のことは分からないぞ」と、子供の頃から父に言われていたので。その言葉が自分の中に残っていて、政治家になりたいと思った時からは同盟国のアメリカを見たいと思ったんです。正直、(大学生)当時からはっきりと「日本の将来をこうしたい」というものは無かったけれども、政治家になる上でアメリカを見なきゃいけないという気持ちは強かったです。

原点の1つは間違いなくアメリカでの3年間だと思います。ニューヨークに1年、ワシントンDCに1年の計3年いました。大学院の頃は世界中の留学生が集まる寮に住んでいて、シンクタンク時代にも世界中から人が来ていました。留学って、自分が外国人になることを経験することじゃないですか。その経験の中で多様性(ダイバーシティ)の意味を痛感しました。

能條:
「シンクタンクとはなんでしょう?」という質問が(ライブ視聴者のコメントに)ありましたが、シンクタンクでどういう仕事をされていたのでしょうか?

小泉:
シンクタンクは政策を考える機関です。特定の政策分野について有識者が集まり、政府に対して「こういう選択肢や施策があるんじゃないか」と提案する機関です。アメリカには多くのシンクタンクがあり、とても充実しています。アメリカではリボルビングドア(回転ドア)という仕組みがあり、シンクタンクの人が政府に入り、政府の人がシンクタンクに入るという仕組みがあります。日本にもこうした仕組みがあればいいと思います。

能條:
アメリカの場合は政権交代があると(官僚や職員が)一気に入れ替わりますが、日本の場合はどちらかというと官僚組織の方が強い感じなのでしょうか。

小泉:
そうですね、シンクタンクにいた立場として感じるのは、シンクタンクは資金集めに苦労します。寄付で成り立っている部分が多いので、アメリカのように寄付が社会基盤として成り立っていない日本では経営に苦労するだろうということはよく分かります。

能條:
確かに、(アメリカと日本では)民主主義の基盤のお金の回し方が全然違うと感じます。

小泉:
違いますよね。かつて私も個人献金を受けるネットサービスを利用していました。しかし、日本では献金が根付かなくて。アメリカでは相当個人献金が多いですから。オバマ大統領が誕生した時も個人献金がすごかったですね。結局(小泉氏が)利用していた献金サービスは、利用者があまりに少なかったからかサービス側から(サービスを)終了しますと通告がありました。

能條:
そうなんですね。本来は寄付も政治参加の手段の1つとしてあるので、そういうことがどんどんできたらいいのかなと思いました。ありがとうございます。

環境大臣時代にはカーボンニュートラルに尽力。改革志向の政治家が必要。

能條:
今まで(政治家として)どんな仕事をされてきましたか?やはり環境大臣をされたことは大きかったのでしょうか?

小泉:
大きいです。環境大臣の場合は約2000人の職員を束ねるトップになるわけで、そんな大きな組織全体をマネジメントする立場になることは、今までの経験と全く違いました。

それと私場合幸運だったのは、環境政策が経済政策や安全保障政策と繋がるような転換期に、環境大臣を務めることができたことです。特に菅政権で、2050年までにカーボンニュートラルを実現する政策を前進させた際に近くで携わらせてもらったことは本当に大きかったです。

よく3つの敵というのですが、省内政府内党内の3つの抵抗勢力に囲まれながら如何に政策を進めるかというところがあります。その中で、改革志向の強い菅総理のもとででないとああいったことはできなかったですね。これは能條さんの世代に「あの時、カーボンニュートラルを決断してくれて良かった」と評価される方向性を付けたと思います。

能條:
私は環境問題に関心があるのですが、カーボンニュートラル宣言の際に(環境問題の)NGOのSNSを見ていると、ようやく日本もやったかと喜ばれていたという風に思いました。

能條:
コメントで大臣はどうやって選ばれるのかという質問が来ています。急に「環境大臣お願いします。」と言われたりするのでしょうか?

小泉:
そうです。私の場合は(当時の)安倍総理から電話で「環境大臣よろしく」ってきましたから。基本は電話ですが、他にもいろいろなパターンがあります。電話の時点では大臣をよろしくとだけ言われるパターンもあれば、私のように「何々大臣をよろしく」という風に指名でくることもあります。総理大臣によって違うのでしょうね。なので、「誰が(大臣を)決めるのか」という質問の答えとしては総理大臣になります。

能條:
急に環境大臣をやって下さいと言われた際には、環境問題との接点というか心づもりはありましたか?

小泉:
ないですね、意外でした。ただ初当選の頃から環境分野が大事だということは言っていました。原点はやはり、横須賀という海で囲まれた自然豊かな街で生まれ育ったので、環境に対する関心が高かったことです。その中で持っていた問題意識は、世界のリーダーは気候変動問題を語るのに、なぜ日本のリーダーは語らないのかというものでした。(大臣任命当時の)安倍総理から「これからの環境問題は特に国際社会への発信も大事だから、若い人に対しても小泉さんよろしく」というお話を頂きました。なので、意外だったけれどやりがいのある分野を託して頂いたと思っていました。

能條:
ありがとうございます。他国では専門性のある人が大臣に任命されたり、議員時代に(環境問題関連の)委員会に入っていた人が大臣に指名されるスタイルもあると思います。今の日本ではそうした専門性よりも、その時々の采配でいろいろな大臣を経験するスタイルかと思います。今の日本の政治スタイルの良し悪しについて思うところはありますか?

小泉:
やはり専門分野としてやってきた人が大臣になることは1つの筋としてあると思います。なので私みたいに環境問題に精通してこなかった人間が環境大臣に起用されたことに異論があるのは分かります。

残念ながら環境大臣は重要閣僚として見られてこなかったこともあり、ほとんどが1年で(別の人に)変わります。そんな中で再任して頂けたのは嬉しかったです。もちろん今まで自分が環境問題だけをやってきたわけではなかったので、失敗したことも批判を浴びたこともあると思います。ただ、カーボンニュートラルという最大の決断に対して産業界からの批判がある中で、政策を一気に前に進めるには、専門性だけではなく改革をすることにモチベーションのある議員でないとと思います。大きな変更をする際には、精通している分だけ逆に邪魔になることもあるのではないかと思います。

能條:
今、視聴者のコメントでも「ジェンダー問題や環境問題は若手の議員さんが増えないと改善されないのでは?」というものがありました。おそらく、改革志向の強い人がいた方がいいのではないかという意図のコメントだと思いますが、どう思われますか?

小泉:
それは、結局選挙で環境問題で(政治家を)応援してくれないんですよ。能條さんのように環境問題にポイントを絞って立候補者を見てくれる人はすごく少数派じゃないですか。この前オーストラリアに行ったのですが、オーストラリアが(2022年に)政権交代をした理由の1つに、今まで気候変動の問題に後ろ向きだった政権に対して、積極的に取り組むべきだという有権者が増えて予想以上に気候変動政策に力を入れる議員が勝ったことがあります。やはり、選挙でこの問題をやると若い人が(政治家を)応援してくれるという分かりやすいインセンティブが政治にないと、分かりやすいところに人は行きますよね。

能條:
小泉さんが大臣になられて地元に対して発信をする機会もあると思いますが、有権者の意識が変わると思ったことはありますか?

小泉:
ありますね。誰でも大臣をやっている間は批判の方が多いのですが、批判をされて話題になることで(有権者が)こういう問題があったのかと気づくことがありますよね。

能條:
(気温上昇の)1.5度目標やカーボンニュートラル、2030年までに(2013年から温室効果ガスを)46%削減するといった目標がありますが、本当に実現できるのか心配に思う人も多いのではないかと思います。事前に質問箱で集めた質問の中にも「世界の気候変動対策を加速させるには何が必要だと思いますか?」というものがありましたが、いかがでしょうか?

小泉:
やはり難しい問題です。気候変動を世界全体で進めるためのCOPという加盟国が集まる場がありますが、1ヵ国でも反対したらまとまりません。この難しさというものを理解してほしいです。

昨年イギリスのグラスゴーでCOP26が開催されましたが、いろいろな評価がありましたね。例えば最後の最後でインドが反対して石炭に対する文言が修正され政策の合意が弱まったとして否定的な報道がありましたが、私の考えは全く逆です。よくまとめられたと思いました。

能條:
涙ながらに議長が演説する様子が報道されていました。

小泉:
(COP26は)190ヵ国以上が参加して、1ヵ国でも反対したらダメなんです。そんな会議をまとめることの難しさを共有してもらえれば、まとめたということが前進だと思います。もしかしたら政治を外から見ている人からすれば不十分なのかもしれないけれど、政治というのは高い理想に向けて今で立ち止まることではなくて、一歩でも前に進めるために最大限の努力をする営みですから。その努力を全世界でしなければ解決しない問題というのはそもそも容易ではない。なのでこの枠組みができていることを大切にして、できていないことばかりに目を向けるのではなくて、前進していることは間違いなくあります。

日本だって菅政権時にカーボンニュートラル宣言をしていなかったら、こんなに再生可能エネルギーの導入が進みますか?こんなに電気自動車の方向に進みますか?こんなに人口が減っても将来日本の食い扶持になるような、世界全体で需要が広がっているような脱炭素の分野に、こんなに早く移動することができましたか?そこに関しては、前進しているところをもっと見てほしいと思います。

自分の言葉で語る政治へ。政治と国民の関係性を繋ぎ直す。

能條:
最後に、政治家として成し遂げたいことや目指すものを教えて下さい。

小泉:
やはり、政治のあり方を変えていきたいと思っています。つまり国会のあり方も変えるということですね。先日Instagramにもアップしたのですが、世界の中で日本ほど議会に時間を費やす必要のある総理大臣や外務大臣はいません。もっと世界に必要な外交や国際関係を築くことに時間を費やさなければならない。

また最近すごく思うのは、少しの言い間違いでものすごく責められたり問題になることによって、(政治家が)紙を読むことが当たり前になりました。しかし、それだと人は関心を持ちません。全てにおいて紙を読まないことは無理ですが、自分の言葉で語る政治を取り戻さないと政治を聞こうという風に(有権者に)思ってもらえないと思います。政治家の一言の間違いの責任が重いのはその通りですが、メディアの言い間違いは一言の訂正コメントで済まされることもあるのでフェアじゃないと思います。メディアがこれだけ発達して、一度出回った(政治家の)発言を回収したり修正できないとなると、政治のリスクがものすごく高い。特に民主主義の世界ではそこがすごく怖くなっていると思います。こうした現状を変えて(政治家の)言葉を受け止める側も1回の発言だけではなくよく見て聞いてほしい。こうしたことも含めて政治と国民の関係性をもう1度繋ぎ直さないといけない。今の時代、民主主義が本当に難しい制度になっているので、立て直さないといけないと思っています。

能條:
政治家が自分の言葉で語るよりもリスクを取らないようになることで、国民も(政治が)面白くなくなる部分もあると感じる一方で、何から変わればいいのかとも思いました。

しばらく国政選挙の無い今だからこそ皆さんが政治に関心を持ったり日常的な場面で政治と関われたらと思います。インスタライブを観てくれている、特に10代20代の方に向けてメッセージがあればお願いします。

小泉:
環境問題の分野に取り組んでいる政治家というものを知ってほしいと思います。政治は目の前のことだけではなく、後世に振り返った時に評価される仕事をするものです。選挙の時にそんな議員を応援しようと思えるように(選挙の無い時にも)行動してほしいです。

今の目の前のことで言えば、物価高の中で行動を変えればできることがたくさんあります。例えば食費も高騰していますが、日本は食べ物を大量に輸入して大量に捨てています。食品ロスに対して一人一人が行動を変えれば年間6万円のインフレによる負担が6万円の食品ロスによる削減で相殺されるという記事もあります。

また、ガソリンもこれ以上価格が上がらないように毎日100億円の補助金を出しています。石油や石炭、天然ガスを海外から買い続けて支払い続けて、我々が着ている服だって98%

輸入して50%売れ残っています。自動車も99%がガソリン車で電気自動車は1%しか走っていません。これからガソリン車が売れなくなる国はどんどん増えていきます。今が良いからってそこにできるだけ長くしがみつこうとしたら、能條さんの世代や次の世代は間違いなく我々の世代よりも所得が下がり貧しくなりかねない。それを変えるには、改革をする必要があります。そうした発想の政治家は敵も作り批判されます。しかし、そうした政治家を支えてほしいと思います。

能條:
ありがとうございました。

次回は10月27日(木)20時から!

次回のライブは10月27日20時からです。立憲民主党衆議院議員の小川淳也さんをお招きしてお話を伺います。

ライブ中は皆さまのコメントも一部取り上げることもありますので、是非リアルタイムでもご視聴ください!

(記事執筆:西田菜緒)

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