コスト削減? “植えない田植え”… 結果は? 東広島市の実験

この春、苗を植えない風変りな田植えの実証実験が広島・東広島市で行われました。目的は、コメ作りのコストの大幅削減。結果はどうだったのでしょうか?

【写真を見る】コスト削減? “植えない田植え”… 結果は? 東広島市の実験

東広島市 西条町 郷曽地区の田んぼです。5月、集まった人の目が1台のトラクターに注がれました。代かきをしながらイネの種をまいています。

すぐに土をかぶせるのでわかりにくいのですが…。

よく見ると、殺菌処理して赤茶色になった種が落ちています。

「代かき同時播種」というコスト削減を目的に東北地方で開発された新しい田植えです。

広島県内では、東広島市のJA広島中央が去年から実証実験に取り組んでいます。

JA広島中央 河野孝行 組合長
「田植え作業が不要になる。田植え機も必要なくなる。これを機会にですね、多くの方にこれを導入していただきたい」

実験に協力した集落法人 郷曽 脇田茂行 理事長
「米価が非常に安いんでね。コストダウンをしないと、法人も経営が難しいので」

JAが期待するコスト削減効果は4割…。ちゃんとコメができれればの話ですが…。

先週、稲刈りの日を迎えました。

郷曽 脇田茂行 理事長
「全般的に田植えしたのと変わったところはない」

収量は、10アールあたりおよそ600キロ。ふつうの田植えと同じくらいありました。

郷曽 脇田茂行 理事長
「田植えよりいいですね。総合的に3割以上のコストや労働力が低減されるので」

JAの組合長が、視察に来ました。

JA広島中央 河野孝行 組合長
「どれくらい、収量ある?」

郷曽 脇田茂行 理事長
「600キロ(10アールあたり)程度あると思うので」

組合長も効果を実感したようでした。

JA広島中央 河野孝行 組合長
「このやり方がコストを下げる切り札となることを実感しましたので、これをぜひとも導入して行くというふうに思います」

ことし、実証実験に参加した農家は12軒。うち、種をスズメに食べられたなどのケースを除き、10軒で田植え並みの収量があったそうです。

JA広島中央では、来年、本格導入する計画です。

© 株式会社中国放送