デンカ、石灰石採掘撤退 セメントの製造・販売も 太平洋セメントに事業譲渡へ

 デンカ(本社・東京都)は25日、2025年中に青海工場(糸魚川市)で行っている石灰石採掘事業とセメント製造事業から撤退すると発表した。石灰石の調達は太平洋セメント(本社・東京都)と提携し、完全子会社の明星セメント(同市)が担う予定。

デンカ青海工場のセメント製造設備(デンカ提供)

 石灰石の採掘事業撤退後、デンカは太平洋セメントから石灰石を購入する。従事している従業員は配置転換させる方針。
 デンカは糸魚川市の黒姫山から産出する豊富な石灰石を原料にカーバイド(石灰石を電気炉で化学反応させたもの)を製造。その副産物を利用して、さまざまな化学製品を製造している。
 セメントはカーバイド向けに利用できない純度やサイズの石を活用して製造してきたが、同社が進めるカーボンニュートラルへの対応や低調なセメント需要を理由に、撤退を決めた。同時に、石灰石の自社採掘からも撤退する。
 セメント事業については、販売部門を新たに設立する完全子会社(新会社)に承継させた上で、来年3月末に新会社の株式を太平洋セメントに譲渡する。デンカは事業譲渡による特別損失約190億円を、23年3月期決算に計上することにしている。
 デンカの22年3月期の連結売上高は3848億円。うちセメント部門の売上高は113億円で、比率は2・9%。

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