大串副大臣にロックオン 答弁引き出す 早稲田氏の大殊勲 野党から「大ホームラン」

早稲田夕季氏

 自民党の大串正樹デジタル副大臣が26日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体による「推薦確認書」に署名したことを明らかにしたのは所管外の衆院厚生労働委員会だった。マイナンバーカードと健康保険証の統合について問うとした立憲民主党の早稲田夕季氏(神奈川4区)の要求に応じて出席したもので、大串副大臣から「後出し答弁」を引き出した早稲田氏に、野党は「大ホームラン」(共産党関係者)と絶賛。政府与党には「大打撃」(官邸関係者)となった。

 この日の対応で早稲田氏が評価されたのは二つの攻め方。一つは「確認書」への署名の有無をただす政務三役の対象から同席していた大串副大臣を外さなかったことだ。内閣府の消費者担当副大臣を兼務していることを見逃さなかった。

 加藤勝信厚労相ら厚労省の5人は「ありません」などと否定。しかし大串副大臣が「あります」と答えると内閣側委員席や与党議員席から「えっ!」と小声が上がり空気が凍り付いた。

 「攻め」のもう一つは大串副大臣の確認書への賛同の内容を詰めたことだ。早稲田氏から「全面的に賛同したのか」と問いかけられた大串副大臣は「自分は技術者出身なので『日韓トンネル実現』の項目は現実的ではないとして賛同しない」と具体的に説明した。

 答弁などによると、副大臣は国立大工学部出身。民間の老舗重化学工業での勤務経験もあり掘削(ボーリング)にも詳しいという。自民幹部は「彼はばりばりの技術者で答弁は見えていた。国民の関心はトンネルうんぬんではない。ポイントがずれた説明は不信や反発しか招かない。野党にしてやられた」と悔しがる。

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