九州高校野球 長崎日大、海星 そろって4強 県勢初2校センバツ有力

写真左から【準々決勝、日本ウェルネス―長崎日大】7回コールドで準決勝進出を決めて喜ぶ長崎日大の選手たち=コザしんきんスタジアム、【準々決勝、海星―西日本短大付】2回表海星2死三塁、峯が左中間に同点打を放つ=沖縄県名護市、タピックスタジアム名護

 第151回九州地区高校野球大会第3日は26日、沖縄県沖縄市のコザしんきんスタジアムなどで準々決勝4試合が行われ、長崎県勢は第1代表の長崎日大が日本ウェルネス(沖縄)を11-4の七回コールドで退け、第2代表の海星も西日本短大付(福岡)に3-2で競り勝ち、そろって準決勝へ進んだ。来春の選抜大会(甲子園)の九州からの出場枠は4。県勢初の2校出場へ前進した。
 長崎日大は二回に失策絡みで2点を先行されたが、1-2の三回2死満塁から押し出しと松本の右前適時打で3-2と逆転に成功した。六回に再び2失点したものの、直後に松本の右越え三塁打を足掛かりに打者10人で4得点して再逆転。七回にも長短4安打で4点を追加して試合を決めた。
 海星は0-1の二回2死三塁から峯の左中間適時打で追いつくと、八回無死一塁から永田の右翼線適時二塁打で2-1と勝ち越し。直後に同点とされたが、九回2死から髙野の左越え二塁打、田中の右中間適時三塁打で決勝点を挙げた。投げては吉田翔から髙野へつないで2失点で踏ん張った。
 このほか、大分商は東福岡を2-1で下し、沖縄尚学は明豊(大分)に3-2でサヨナラ勝ちした。
 27日は休養日。第4日は28日、同スタジアムで大分商-長崎日大(10時)、海星-沖縄尚学(13時)の準決勝2試合を実施する。

◎長崎日大 大勝 先発全員安打で11得点

 終わってみればスタメン全員安打、8人が打点を記録する快勝だった。県大会王者で2年連続4強に名乗りを挙げた長崎日大。平山監督が「点の取られ方は悪かったけど、序盤の失点は想定していた部分。慌てないことと言った」と振り返ったように、ミスで先行されても動じず、次々と快音を響かせて試合をひっくり返した。

【準々決勝、日本ウェルネス―長崎日大】7回裏長崎日大2死満塁、平岩が走者一掃の右越え二塁打を放つ=コザしんきんスタジアム

 三振は1回戦のゼロに続いて、この日も一つ。一発のある選手が少ない分、ボール球をしっかりと見切り、コンパクトにつなぐことを徹底できている。やや動きが鈍く、1点差で辛勝した初戦の反省を踏まえ、25日も球場での公式練習後に室内で打ち込みを実施。主将の平尾も「自分たちのペースで」と指揮官と同じ言葉を強調し、一人一人が冷静に打席へ臨んだ。
 圧巻だったのは六、七回の計8得点。六回に先頭松本が「後輩のミスを自分のバットで返そうと思った」と逆方向への右越え三塁打で口火を切った。廣田、豊田、加藤に適時打が生まれると、七回は1回戦で無安打の4番平岩が、満塁から走者一掃の二塁打を放って勝負あり。「迷惑をかけたのでホッとした」と吹っ切れた様子だった。
 守備面は課題が残ったものの、投手陣も背番号10の廣田が無四球で投げ抜き、投打で上昇気流に乗ってきたと言えるチーム。昨年は準決勝でコールド負けし、どこよりも「次が大事」であることも理解している。平岩は「ここで終わりじゃなく、ここまできたら優勝しかないと思っている」と力強く前を見据えていた。

◎海星 競り勝つ 髙野 終盤に投打で躍動

 海星が熊本1位校に続き、福岡王者の西日本短大付を撃破。8強止まりだった昨秋の雪辱を果たすと同時に、2016年以来となる春切符をぐっと手元に引き寄せた。特に気を吐いたのが七回から救援した髙野。苦しい局面でもぶれずに力投し、九回は自らのバットで決勝点を呼び込んだ。

【準々決勝、海星―西日本短大付】3回1失点と好救援し、打っても9回に決勝点につながる二塁打を放った海星の髙野=沖縄県名護市、タピックスタジアム名護

 壱岐市の盈科少年で小学2年から競技を始め、郷ノ浦中卒業後、県内屈指の伝統校の門をたたいた。身長168センチ、体重60キロと体格には恵まれていないが、最速137キロの球威に加え、縦横のスライダーは鋭く曲がる。投げっぷりも良く、1回戦も七回のピンチを直球で押して併殺で切り抜けるなど、好救援していた。
 苦境に立たされた時こそ大胆に攻めていく。八回に外野手が目測を誤った二塁打から同点に追いつかれ、なおも2死一、二塁で5番打者を迎えた場面。ここを鮮やかに3球三振で仕留めると、九回は併殺後の2死無走者で打席に立ち、初球の抜け球を左越えへ。嫌な空気を一蹴して、田中の決勝打につなげた。
 当の本人は「納得いく投球ではない」と満足していないが、加藤監督の評価も高い。2試合連続で左の吉田翔を先発起用した指揮官は「ライバルとして投げられないフラストレーションがたまっていたはず。それを力に変えていた。抜群でこれしかないというゲームだった」とうなずいた。
 準決勝の相手は開催地の第1代表沖縄尚学。完全アウェーの厳しい戦いも予想される中、頼れる背番号11は「次も接戦で勝つ。持てる力を全部出す」と言い切った。


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