「地域未来塾」スタートから5年 学習支援員の確保が課題 佐世保市教委

学習支援員(左)が生徒に数学の解き方などを教える地域未来塾=市立早岐中

 長崎県の佐世保市教委が小中学生を対象にした学習支援「地域未来塾」をスタートして5年が過ぎた。児童生徒の苦手な分野の克服や学習習慣の定着などを目的に市内4校で実施。学習面だけでなく地域の人たちとのつながりも育んでいる。ただ、学習支援員の確保が難しく、市内全域には取り組みを広げられていない。
 ある日の放課後、市立早岐中の図書館。数学の問題を解く3年生の傍らに立つのは現役の教員ではなく、教員OBや地域の住民ら支援員。問題に悩む生徒には支援員が解き方を教えた。参加した女子生徒(14)は「数学を得意になりたかった。分からないところは詳しく教えてもらえる」と話す。
 地域未来塾は、教職員OBや大学生、地域の人たちが生徒らの学習をサポートする取り組み。放課後に1~2時間程度、学校の空き教室や地域の公共施設などで実施。対象学年や教科は学校と協議して決める。対象となる学年の生徒児童は希望すれば無料で参加できる。地域の人たちと関わることで孤立を防ぎ、見守られている安心感を生徒らに与える効果もあるという。2017年に市立光海中と市立金比良小をモデル地区としてスタートし、20年度から小佐々と早岐両中も加えた。現在、対象者の3割程度が参加。4校で計26人が支援員として活動している。
 復習に重点を置いているのが未来塾の特徴。つまずいている部分を克服して基礎学力の向上を目指す。業務を受託する教員OBらでつくる市教育会の久田和之事務局長は「カリキュラムがある授業と異なり、一人一人に合った対応ができる」と生徒らに寄り添える強みを強調する。
 ただ、生徒らの学びに“伴走”する支援員の増員が課題だ。本年度、新たに支援員になったのは1人だけ。市教委社会教育課は、働く高齢者が増えたことや、大学の教育学部が市内にないことなどがネックになっているとみる。支援員が増えないため、市教委が目指す実施校の増加にもブレーキがかかっている。
 支援員の数は学校によって異なるが、支援員1人当たり最大で9.3人を受け持つ計算。同課は、対象校を増やす必要性を挙げるとともに苦手分野の克服に向け「(支援員が)多ければ多いほど丁寧な指導ができる」として“地域の力”に協力を求めている。


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