キャンピングカーは意外と手頃?レンタルなら最安1時間800円 軽商用車を改造するキットも

家族でキャンピングカー旅を満喫している吉田喜廣さん一家。時間にとらわれず行動できるのがメリットという=福井県坂井市内
トラベリングライフが開発したDIYキットを取り付けた軽商用車。後部がベッドになり、テーブルは車内外で使用できる=福井県福井市

 アウトドア人気の波に乗り、注目されるようになったキャンピングカー。ゆったりした空間で時間に縛られず移動できる魅力に加え、密を避け家族や仲間だけで過ごせることが人気の理由になっている。とはいえ「値段が高くて買えない」「大き過ぎる」と思う人も多いのでは? 福井県内にはレンタルや軽商用車を改造するキットを開発している業者があり、意外と身近な存在かも。

「自由気ままに行動できる」

 「買って本当によかった。車で過ごす全ての時間が思い出になる」と話すのは、3人の子をもつ会社員の吉田喜廣さん(35)=坂井市。3年ほど前に知り合いから譲り受け、家族旅行や空手を習う子どもの県外遠征に大活躍という。

 4年ほど前、気軽に家族旅行がしたいと購入を思案。販売会社や展示会を訪れたが新車は高く「この金額を出して使いこなせなかったら…」という不安もあったそうだ。

 そんな中、所有する知人に借りる機会があり不安は吹き飛んだ。車中泊ができるため、旅程の段取りや宿のチェックイン時間を気にする必要がなく「自由気ままに行動できる。何より子どもが大喜びだった」。知人が乗り換えるタイミングで売ってもらった。

 深夜に自宅を出発すれば旅先で朝から行動できるなど、時間にゆとりが生まれたことがメリット。「自分を含め、高価なイメージが先行している人も多い。レンタルや中古など選択肢はあるので、一度使ってみるのがお薦め」と話す。

値段は内装や装備次第

 販売業者などでつくる一般社団法人「日本RV協会」の調査によると、2021年のキャンピングカーの販売売上合計額は新車、中古車を合わせ過去最高の635億4千万円。直近10年間で3倍になった。軽自動車からマイクロバスをベースにしたものまで種類豊富で、値段は内装や装備次第で新車なら200万円台から、1千万円を超える豪華なものもある。

 キャンピングカー企画製造、販売のトラベリングライフ(福井市)は、手の届く価格でキャンピングカーライフを楽しんでもらおうと、軽商用車をDIYで軽キャンパーに改造できるキットを開発した。荷室上部の収納棚や格納式のテーブル、大人2人が寝られる分割式のマットレスなどがセットになっており、30万円程度で発売予定。中古車にも取り付け可能だ。⇒トラベリングライフのDIYキットを取り付けた軽商用車

 「シンプルで安く」を念頭に開発したという山口忠洋社長(57)は「カップルやソロのキャンプはもちろん、釣りや写真といった趣味にはもってこいで、細い山道も走りやすい。キャンピングカーを見たことがない人も多いので、知ってもらうことから取り組んでいる」と話す。

大型連休中はフル稼働

 販売、整備を手掛けるシゼント(福井市)はレンタル事業を2016年から展開。福井、石川の計3店舗で13台運用し、ゴールデンウイークや夏休みなど大型連休中はフル稼働という。野邑高嗣店長(40)は「アウトドアブームもあり問い合わせや予約は増えている。ユーチューブなどで認知度が上がったことも要因では」と分析する。

 料金は最安のワンボックスカータイプで平日1時間800円から。家族連れを中心に、定年後の夫婦や学生など利用者の年齢層は幅広い。宿代を考えるとトータルの旅費が安く済む場合もあり、野邑店長は「時間にとらわれず、目的地の融通が利く旅を試してみてほしい」と話していた。

キャンピングカー旅の注意点

 キャンピングカーの旅で注意したいのは、道の駅やサービスエリア(SA)といった公共駐車場の利用マナー。SAやパーキングエリア(PA)は休憩を前提とした施設で、道の駅には車中泊を禁止している所もある。野邑店長は「遅い時間にはアイドリングをしないなど、周囲への配慮を忘れないで」と話す。

 日本RV協会は、24時間使えるトイレを備えるなど、条件を満たした車中泊可能な施設を「RVパーク」に認定。有料だが、ごみ捨てができたり、電源や水道が使えたりと快適に過ごせる設備を備えた所が多い。全国に288カ所(9月末現在)あり、県内では大野市の道の駅「越前おおの荒島の郷」など4カ所が認定されている。

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