「自分の作品を見てもらうことができてうれしい」幻想的な“光のアート”が学校包む 高校生活の思い出に生徒が奮闘=静岡・静岡市

静岡県静岡市内の高校の校舎が幻想的な「光のアート」に包まれました。コロナ禍で失われた3年間。高校生活の思い出にしたいと生徒たちが奮闘しました。

<生徒>

「すごい、見て。渦巻き」

「暗くなったらめっちゃきれいだよね。渦巻きだ、楽しみ」

静岡県静岡市駿河区の城南静岡高校です。校舎にぼんやりと浮かび上がったのはデジタルアート。大型のプロジェクターで投影し、光の芸術を作り出すイベントの準備が進んでいました。

「光のアートで校舎を包もう!」このイベントは、東京・新宿にある芸術系の大学「宝塚大学」が全国の高校生と共同で実施しています。新型コロナの感染拡大で、思うような3年間を過ごせなかった今の高校生に思い出を作ってもらいたいという企画です。

<宝塚大学 芸術学部 渡邉哲意教授>

「RGB2というところに、ひもをほどいて、ちゃんと1本に伸ばして、RGB2にそれぞれ挿して反対側を上に置いておいてください」

<生徒>

「えーと…」

城南静岡高校には、映像やウェブなどのデジタルクリエイターを育成するコースがあります。3年間で学んだことを発表できる場がほしい、そう思っていた高校生たちに大学が声を掛けました。

<宝塚大学 芸術学部 渡邉哲意教授>

「コロナ禍で文化祭とか体育祭とか、机の上じゃない学びの体験の場が失われた。そういった時にこういったアートの力を使って屋外で密にならない状態でこういったアートを体験する。そこで新しいものを知るっていう体験がいい学びになるかと思います」

<生徒>

「はい、こっちにちょうだい。まだよ、まだよ、はいOK」

機材の使い方や設置方法を学びながらデジタルアートにふれます。校舎の壁に映し出すのは、世界的な映像アーティスト、長谷川章さんの作品です。

<城南静岡高校3年 藤田百桃さん>

「自分の進路がはっきり決まって、こういう映像とかの職業に就きたいと思って、こうやって高校生のうちから、こういうのに携われるのはすごいことなんだなって実感できました」

準備の作業中、突然、電源が落ちるトラブルがありました。

<記者>

「先生、これ今、何が起きたんでしょう?」

<教諭>

「上の電源を消してくれたのか、それともブレーカーが落ちたのか、ちょっと分かってないですね」

<生徒>

「柔道場の窓付近に…」

<教諭>

「これ開くかな?」

<生徒>

「これが開けばそこに(電源が)あるんですよ。電源のところ」

<教諭>「電源タップ?」

投影には、合わせて8台の大型プロジェクターを使います。しかし、消費電力が大きく8台の電源を分散させなければなりません。

<城南静岡高校3年 金指まことさん>

Q.なかなか苦労していますね?

「そうですね、電気をいっぱい使い過ぎるとプロジェクターが消費量が激しいので、電源を探すのが本当に大変ですね、本当に1階、2階でいろいろな所から引っ張ってきて」

生徒たちは苦労しながらイベントの準備を整えました。

イベントの当日、近所の人たちが見学に訪れました。日が沈むのとともに校舎に見事なデジタルアートが映し出されました。

<訪れた人>

「きれいですね、校舎。いいアイディアだと思いますね。きれいですね」

「校舎がきれい。校舎がきれいだね。すごいね」

「いつも横を通っているんですけれど学校のイメージがいつもと違う」

「今の若者たちはこういう世界に進んでいくんだなと思ってワクワクしました」

校舎内では、生徒が作成したプロジェクションマッピングも披露されました。

<城南静岡高校3年 尾崎巧さん>

「感無量というか、実際にこうやってお客さんに来てもらう学校行事は初めてなので、開催できて自分の作品を見てもらうことができてうれしいです」

<城南静岡高校3年 藤田百桃さん>

「自分がこういうのに携わることができて、いろんな人の笑顔が見られるというのは、すごい幸せなことなんだなって感じることができました」

3年間通った学び舎がアートに変わる。コロナ禍でようやくできたイベントは、生徒たちにとって貴重な体験になりました。

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