〈動画あり〉社会人野球日本選手権30日開幕 上越出身2投手挑む 2年連続バイタルネット出場

 第47回社会人野球日本選手権(30日開幕、京セラドーム大阪)に、バイタルネット(新潟市)が北信越地区代表として2年連続8度目の出場。共に入団2年目のエース左腕・江村伊吹投手(24、吉川中―北越高―大東文化大出)、中継ぎ右腕・松澤寛人投手(23、糸魚川中―糸魚川高―石巻専修大出)が登板に備えている。1回戦(30日午後6時開始予定)で昨年惜敗した東芝(川崎市)に雪辱を期す。

日本選手権へ向け調整するバイタルネット硬式野球部の同期、江村(右)と松澤両投手(宮城県大和町のベルサンピアみやぎ泉野球場)

◇最速150キロ エース左腕 江村伊吹
 江村投手は北信越予選の準決勝、今夏の都市対抗野球大会に初出場したロキテクノ富山戦で本領を発揮した。先発登板し、初回に2点を失ったものの、二回以降を無失点に抑えて完投勝利。チームを決勝進出に導き、優勝に貢献した。「あの試合は初回以外、思い通りの投球ができた。都市対抗予選で負けていたので気持ちが入っていた」と振り返る。

ブルペンで投げ込む江村投手

 左のスリークオーターから、最速150キロの直球で押し、得意のカットボールにスライダー、フォーク、ツーシーム、チェンジアップなどを多彩に投げ分ける。「圧倒できるように」と球威で押すスタイルだ。
 投手陣の中核として「自分の調子で投球内容が変わっている。浮き沈みなく投げられるようになりたい」と自覚する。10月中旬の三重遠征では2戦に先発し失点を重ねたため、試合をつくることを意識する。
 昨年と同じ相手、東芝戦に照準を合わせる。昨年は2番手で1/3回を投げた。「負けて悔しい思いをした」だけに、「任せられたところでしっかりと投げられるように。勝てるように頑張りたい」と自身の役割に徹する。郷里の球児へ「注目して、少しでも野球に興味を持ってくれたら」と活躍を誓う。
 上越市立吉川小5年から吉川ウイングスで野球を始めた。吉川中で投手。小さい頃は剣道やサッカーもやっていた。北越高に進み、3年春に県準優勝。大東文化大では3年春に首都大学2部リーグ戦優勝に貢献。177センチ、80キロ。左投げ左打ち。目標の投手は「同世代でトレーニングなどを参考にしている」というオリックス・山本由伸投手(24)。

◇直球に力 中継ぎ備え 松澤寛人
 松澤投手は現在、主に中継ぎで起用されている。高校時代から、右サイドからの直球の強さには定評があり、「ストライクゾーンに投げれば、真っすぐは打たれることはない」と話す。最速149キロのストレート主体にスライダー、チェンジアップなどを交える。

ブルペンで投げ込む松澤投手

 大学までは先発が多く、練習試合や公式戦で「試合を見ながら(肩を)つくるのが難しい」と中継ぎの苦労を感じつつ、「想定しながらつくっていきたい。チャンスをもらうというよりは勝ち取って試合に出場し、抑えられればベスト」と気持ちを込める。
 1年目の昨年は右肩を痛めほとんど投げられなかっただけに、「1年間何もやっていない自分がやらせてもらっている。それに見合った成績を」とチームへの恩返しを誓う。
 一昨年11月9日、野球を始めるきっかけとなった父・一寛さん(享年50歳)が急逝した。少年野球の監督であり、「父から教えてもらった野球で何とか頑張るよ」と、この秋に帰省し墓前に告げた。父の思いも背負ってマウンドに立つ。郷里の球児へ「糸魚川の高校出身者が社会人で頑張っている姿を見せたい」と勇姿を届ける。
 糸魚川市立西海小1年から西海ファイターズで野球を始めた。糸魚川中時代は内・外野手。糸魚川高から投手。1年秋にサイドスローにした。2年秋に県ベスト8、3年春夏はベスト16。石巻専修大では1年時に全日本大学野球選手権で先発し勝利投手に。176センチ、78キロ、右投げ右打ち。目標の投手は「真っすぐで押していくスタイル」のソフトバンク・津森宥紀投手(24)。
 
◇調整と修正を両投手に期待 佐藤英司監督
 バイタルネット硬式野球部・佐藤英司監督 江村は今回の選手権出場の立役者の一人。本戦でも必ず投げる機会はある。しっかりと調整してほしい。(制球が)多少荒れるので、ある程度ランナーを出してもそこからが勝負。試合の中で修正してほしい。
 松澤はボールに力がある。そこが武器。松澤も少し荒れるところがあるので、その壁を乗り越えればかなり戦力になる。自信を持ってバッターと戦えるようになれば。起用は十分にある。

◇江村投手の投球練習の動画 

◇松澤投手の投球練習の動画

© 株式会社上越タイムス社