北陸電力が電気料金43年ぶり値上げへ 2023年3月期は過去最悪1000億円の赤字「対処可能な範囲を大幅に超えた」

 北陸電力(本店富山市)は10月27日、2023年3月期の連結経常損益が過去最悪の1千億円の赤字になるとの業績予想を発表した。純損益は900億円の赤字を見込む。ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で火力発電に使用する石炭価格の高騰が続いていることが主な要因。収支の悪化を受け同社は、主に一般家庭向けの規制料金を含む全ての電気料金を来年4月から値上げすることを決めた。

 国の認可が必要な規制料金の値上げは大手では15年の関西電力以来。北陸電としては1980年以来43年ぶり。

 同社の電源構成は、2021年度の実績で火力発電の割合が8割を占め、石炭価格の高騰が大きく響いた格好だ。燃料高に伴う卸電力取引市場価格の高騰で電力調達コストも増加した。1979年の第2次オイルショックや東日本大震災直後の収支悪化をはるかに上回る規模という。

 一般家庭の多くが契約する規制料金は、北陸電では今年2月から燃料費上昇分を料金に反映できる上限に達していたため、同社の負担が拡大していた。今後、自由料金も含めて値上げ幅など具体的な内容を固め、国に料金認可の申請を行う。同社によると申請から認可までおおむね4カ月ほどかかる見通し。

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 富山市で記者会見した松田光司社長は「企業努力で対処可能な範囲を大幅に超えた。負担をお願いすることをおわびする」と述べた。

 ウクライナ侵攻や円安による燃料高を背景に抜本値上げの方針を決めたのは大手電力で初めて。北陸電以外にも、東北電力と中国電力も値上げ申請の必要性を検討している。

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