待ちわびた花火打ち上げ、埼玉・皆野の6地区で イベント中止続く中、活気付けようと夜空彩る

花火を楽しむ地域住民=22日午後8時、皆野町金沢

 コロナ禍で落ち込んだ地域全体を活気づけようと、埼玉県皆野町は8~23日の期間、町内各地に打ち上げ花火を届ける「出前花火」を実施した。感染拡大防止を鑑み、今年も伝統行事を中止にした町内6地区の夜空に大輪の花を咲かせ、町民一体で来年の行事再開を願った。

 出前花火は、三沢(8日)、下田野(9日)、日野沢(15日)、大渕(16日)、金沢(22日)、皆野(23日)地区の順番で実施。地元の花火製造会社「根岸火工」が、各地区の広場などに花火をセットし、それぞれ午後8時から約3分間、75発の花火を打ち上げた。

 町内各地区では毎年、夏祭りや獅子舞など数多くの行事を実施しているが、コロナ禍の影響で大半の催しが3年連続で中止になった。県内全域から参加者が集まる8月の「秩父音頭まつり」は、今年は規模を縮小して開催する予定だったが、同時期に全国で感染が再拡大し、急きょ中止を余儀なくされた。

 金沢地区で22日に行われた出前花火では、地域住民約20人が野外で円卓を囲み、午後8時の打ち上げの瞬間を待ちわびた。同地区では毎年5月の「つつじ祭り」で、郷土芸能「出牛(じゅうし)浄瑠璃人形」(県指定有形民俗文化財)を上演しているが、今年も含め3年連続で中止になった。

 同地区で仲間と花火を鑑賞した、若林光雄さん(75)は「コロナ禍の影響でコミュニケーションの場が減ってしまったが、今回の花火で地域全体が盛り上がる。来年こそは、つつじ祭りを完全復活させたい」と話していた。

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