地ビール醸造で住民や学生ら交流 那智勝浦町色川地区

色川の地域資源を使った「色川ビール」

 和歌山県那智勝浦町色川地区を盛り上げようと、住民や和歌山大学生、有志が地区の特産を使った地ビールを計4回醸造し、この取り組みに賛同する会員に配布した。人の交流が生まれ、地区のファンができるなど成果があり、関係者は今後の継続に向けた仕組みづくりを検討している。

 色川は山間部にある集落。今回の「色川クラフトビールプロジェクト」は和歌山大学観光学部の地域インターンシップの授業の中から生まれ、昨年4月から始まった。

 色川地区の中にある小阪区の峯茂喜区長(67)と、和大観光学部4年の藤本多敬さん(23)がプロジェクトの共同代表を務め、色川の資源を生かしたビールで地区の魅力を伝え、人と人をつなごうと、有志がボランティアで取り組んだ。

 酒税法の関係からプロジェクトではビールを販売せず、取り組みに賛同する「色川地ビールを育てる会」の会員を募り、醸造に要した経費を会員で割り勘にし、できたビールを配布する形にした。

 和歌山市や有田川町の醸造所に委託し、那智の滝の源流域の水、色川のほうじ茶やユズ、梅、ショウガを原料にして、1月、3月、6月、10月の計4回、クラフトビールを醸造。1口(1500円や2千円)で3本(1本330ミリリットル)を配布した。

 ラベルのほか、原料の生産者や色川に移住した人、会員の声などを紹介する会報もプロジェクトメンバーが作った。会員は合計300人ほどで、半数以上は関東など県外だった。基本的に県内の会員にはメンバーが手渡しし、県外の会員には発送した。

 会員の中には実際に色川を訪れる人や、運営メンバーとなる人も出てきたりするなど交流が広がった。

 藤本さんは「那智勝浦の地ビールの需要を感じたし、色川地区を知ってもらえるなど、関係人口づくりの可能性を感じた。地域の人が主体となって色川ビールを持続的に続けられることを願いたい」と期待を寄せる。

 峯区長も「ビールも含め、色川地区の課題をサポートする取り組みとして継続していければと考えている」と話している。

 プロジェクトの報告書を年明けにも完成させ、メンバーや会員が集まった場で、次の展開について公表したい考えという。

 問い合わせは、メール(irokawa.craft.beer@gmail.com)まで。

色川クラフトビールプロジェクトのメンバー(和歌山県那智勝浦町色川で)

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