新潟大学が高温耐性などを持つ新品種「コシヒカリ新潟大学NU1号」の実証実験の結果を報告

発表の様子

新潟大学は28日、新潟大学駅南キャンパスときめいと(新潟市中央区)において、「コシヒカリ新潟大学NU1号」の2022年度実証実験の結果報告記者会見を開催した。

「コシヒカリ新潟大学NU1号」は、新潟大学・刈羽村先端農業バイオ研究センターの研究グループ(農学部・三井敏明教授ら)が開発に成功し、品種登録(第27856号)した、コシヒカリの高温・高CO²耐性を有する新品種だ。

2020年度・2021年度、栽培特性評価を目的として、刈羽・柏崎・塩沢の農家の圃場における実験により、暑さに強く良品質の品種であることを実証した。さらに、2022年度は栽培地域を新潟県内全域に広げ、第3ラウンドの実証実験を実施した。また、NU1号種籾の増産も行った。

実験場所は、村上市(44アール)、新発田市(50アール)、阿賀町(50アール)、柏崎市与三(45アール)、柏崎市中鯖石(種籾圃場10アール)、柏崎市野田(10アール)、刈羽村(40アール)、南魚沼市塩沢(60アール)、上越市(50アール)、妙高市(種籾圃場10アール)で実施された。

今年の新潟県の5月の平均気温は平年並みか高く、6月から7月にかけては気温がかなり高くなった。8月から9月の平均気温は平年並みか高めに推移した。稲登熟期の8月は、前半は最高気温が35度を超える日があり平年より暑かったが、お盆過ぎは平年より涼しい日が続いた。

田植えは5月13日の刈羽村から順次開始した。6月中旬ごろには中干が行われた。8月3日からの新潟県下越地方の豪雨により荒川に隣接する実証実験圃場も冠水したが、泥水の流入がなかったことと、出穂前という幸運にも恵まれ最悪の事態を免れた。

出穂は若干遅れ気味で8月8日ごろから見られたが、完熟は順調に進み、稲刈り収穫は9月11日から27日の間に行われた。

害虫の発生状況に関しては、栽培地域・面積を大幅に広げたが、いもち病による被害はいずれの圃場でも見られなかった。ある圃場では、カメムシの被害が発生した。カメムシ被害の実証実験での発生は初めてであるが、原因は防除のタイミングが遅れたことにより発生したと思われる。

過去3年間の調査からNU1号はコシヒカリと比べてより良品質であり、食味も全く引けを取らないと判断された。この3年間、NU1号収穫物の試食会を各地(刈羽村、三条市農業担い手協議会など)で開催し、参加者・関係者からNU1号の食味・食感については概ね良好な感想を得たという。

今後の展開としては、「コシヒカリ新潟大学NU1号」の名称を公募して、その名称を商標登録することを検討しているという。さらに、NU1号米を一般に流通させるための商標登録も視野に入れているという。

実験結果発表記者会見に出席した刈羽村の品田宏夫村長は、「学生さん、それから色々な教育者、協力者の皆さんの協力を得て、一つの結果が出ようとしている。研究の成果がこうやって発表できる状況になったということは、大変嬉しく思っている」と話した。

新潟大学の三ツ井敏明教授は、「世に出していきたいと考えているが、1つ1つステップを踏んでいきたい。まず名前を決める、商標登録をした後に、新潟発のブランド米として進めていきたいと思う」と語った。

左から、刈羽村の品田宏夫村長、新潟大学の三ツ井敏明教授

収穫された2022年度産の「コシヒカリ新潟大学NU1号」

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