廃プラ・廃木材を舗装材や建築資材に LIXILが再資源化の技術確立

新素材を使った第1弾製品となる舗装材「レビアペイブ」。歩道や、国立公園などの自然遊歩道、オフィスビルや商業施設内の広場、スマートシティなどでの活用が想定されている

家庭から出るビニール袋や発泡スチロール製のトレーなど、さまざまな素材が複合し、これまで再資源化が難しかった廃プラスチックに、建物の建築解体時に出る廃木材を組み合わせた新素材を、住宅設備メーカーのLIXILが開発した。ペットボトルをはじめプラスチックごみの分別回収が進んでいる日本だが、回収されている廃プラスチックのうち再資源化されているのは24%にとどまっているのが現状とされる。同社は残り76%の活用に挑み、新素材を舗装材や建築資材などさまざまな用途に展開し、将来的にそれらを水平リサイクルすることで、「持続可能な社会と地球環境の保全の両立を追求する」としている。(廣末智子)

開発したのは、「廃プラスチックに新しい価値を」をコンセプトとする「循環型素材『レビア』」。従来、異なる複数種の樹脂を利用した包装用フィルムなど多種多様なプラスチックを選別し、再資源化することは難しかったが、同社はこれを廃木材と一括して細かく粉砕し、押し出し成形する技術を確立したことで、ほぼ全ての種類の廃プラスチックを原料として有効活用することに成功した。

同社によると、新素材を1トン分製造する工程で排出されるCO2と、1トン分の新素材に使われる廃プラスチックや廃木材が焼却処理された場合のCO2排出量を比較すると、82%のCO2削減につながる。また新素材は水平リサイクルが可能で、将来的に新素材が使われた製品を使用後に回収し、再度同じ製品として再生することで、循環利用を促進することができる。

第1弾は舗装材に 2030年までに事業売上1000億円目指す

新素材は、第1弾として、歩道や広場、公園などさまざまな場所に使用可能な舗装材として製品化し、来年1月に販売を開始する。また今後、建築資材やエクステリア形材などさまざまな用途に展開する方向で、2030年までにこの分野における事業売上1000億円を目指す。

このほど開かれた新素材の記者発表会で、同社の瀬戸欣哉社長は、世界のプラスチック廃棄量がOECDの調査で、2000年の約1.56億トンから2019年は約3.53億トンと19年で2倍以上に増加していることや、現状、国内では回収されたプラスチックの76%が再資源化が困難なためにエネルギー回収や単純焼却、埋め立てに使われていることを説明。

その上で、新素材が目標の事業売上1000億円を達成できた場合に想定される効果として、「59万6000トンのCO2排出量の削減につながり、18万5000トンの廃プラスチックをリサイクルできる」とする数値を示した。特に18万5000トンというのは現状、兵庫県の人口に相当する580万人が1年間に廃棄するプラスチックの量に当たるという。「廃プラから製品をつくり、流通させるということは理屈だけではできない部分があり、そうしたエコシステムを構築するためにも外部の機関や企業と連携を強め、さまざまなステークホルダーとともに持続可能な成長と地球環境の保全の両立を追求したい」とする考えを瀬戸社長は強調した。

「コンクリートの代替としても社会的意義がある」瀬戸社長が強調

また、質疑応答の中で、同社は、新製品の価格について、今後、量産化ができればコストも下がっていくとする見通しを示した上で、現行のコンクリートを中心とする舗装材と比べ工事代金も含めて約2倍になることを説明。ただ、メンテナンスや耐久性の面からもコンクリートと比べて有利な点が多いという。

この点に関し、瀬戸社長は「新素材は、コンクリートの代替素材としても大きな社会的意義がある」と主張。その理由について、「世界中でコンクリートをつくり過ぎてきた結果、今、インドや北アフリカなどで、急速にコンクリートに使われる海岸の砂が減り、生態系にも多大な影響を及ぼしている。そうした地球環境全体の価値として考えた時、すでにごみであるものを再利用する意味合いは非常に大きい」と思いを語った。

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