【詳報】「餃子の王将」社長射殺、京都府警が会見 「王将の過去の不透明な取引との関係も捜査」

田中容疑者の逮捕を受けて会見する京都府警の中野刑事部長(左から2人目)と捜査幹部ら=28日午後11時、京都市上京区・府警本部

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市山科区)の大東隆行社長=当時(72)=を射殺したとして、殺人と銃刀法違反の疑いで特定危険指定暴力団工藤会系石田組幹部の田中幸雄容疑者(56)が逮捕された事件で、京都府警捜査本部(山科署)は28日夜、京都市上京区の府警本部で記者会見を開いた。

 府警の中野崇嗣刑事部長は、組織犯罪捜査の必要性から福岡県警と合同捜査本部を立ち上げたと説明。その上で「亡くなられた被害者の冥福を祈るとともに、遺族、会社関係者に心からお悔やみ申し上げる。容疑者の背後関係を含め、事件の真相究明に当たる」と話した。

 午後11時に始まった会見には、中野刑事部長、増田茂雄捜査1課長、村山三鶴山科署長のほか、福岡県警の山内健次暴力団犯罪捜査課長が出席した。

 田中容疑者は氏名不詳の人物と共謀し、13年12月19日午前5時45分ごろ、山科区西野山射庭ノ上町の同社本社前の駐車場で、自動装填(そうてん)式拳銃を4発発射して大東さんの胸や腹などに命中させ、殺害した疑いが持たれている。

 田中容疑者は08年に大手建設会社の車に拳銃4発を発射したなどとして、銃刀法違反などの罪で19年11月に懲役10年の判決を受け、福岡刑務所に収監されていた。

 報道陣との質疑応答は以下の通り。

 ー田中容疑者は山科署に何時頃到着する見込みですか。

  京都府警「本人の身の安全も含め、市民の身の安全を確保するということでだいぶ予定よりずれ込んでいるので明け方くらいになると見込みです。当初予定より慎重に行動しているので予定より遅れている」

 ―認否について教えてほしい。

 京都府警「認否については今後の捜査に差し支えがあるので回答を控える」 

 ―会社敷地内とはどこなのか。弾丸数発とは何発なのか。

 京都府警「会社は王将フードサービス。弾丸何発かについては、犯人しか知り得ない情報であり、今後の捜査、公判にも影響するので回答を差し控える」 

  ―大東氏と田中容疑者の個人的接点は確認できているか。 

 京都府警「捜査の重要事項であり、証拠の中身にも関わるので回答を差し控えたい。ご配慮いただきたい」 

 ―京都府警は9年近く捜査してきた。捜査がこれだけ長期化した要因についてはどのように分析するか。 

 京都府警「証拠に関わるので詳しく言えない。一つ一つ、足で稼いだ証拠資料について、いろんな角度から、多角的多面的な視点で証拠を見直して、見極める作業を一つ一つ積み重ねてきた。それに相当な時間がかかった」

 ―背後関係について全容解明を進めると説明があった。その意味合いは。 

 京都府警「そもそも容疑者が組織犯罪に属する人物であるということ。それ以上は回答を控える」

 ―暴力団組員という属性、工藤会系組員、そのあたりを正確に説明を。 

 京都府警「5代目工藤会傘下組織幹部」 

 ―工藤会系組員となる。組織的犯行の疑いがあると見ているか。

 京都府警「組織的犯行の可能性があるとみて捜査している。いろんな人から事情聴取して背後関係を解明していく」

 ―関係先の家宅捜索の状況と検察への送致時期の見通しを。 

 京都府警「捜索差し押さえ、いわゆるガサ関係はこれから。送致は明日の午後を予定している。通常なら山科署から京都地検に身柄を移すが、明日に限っては、特異な事件ということで検察官が山科署に来て、そこで送致する。本人が護送で山科署を出るということはない」

 ―逮捕容疑は単独犯とみているのか。 

 京都府警「これも背後関係を解明していく中で、捜査の重要事項にあたる。証拠の中身にかかわるので回答を控える」 

 ―合同捜査本部の役割分担は。 

 京都府警「被疑者の出身地が福岡であるということ。工藤会という危険かつ凶暴な、一般市民を巻き添えにする事件を起こしている団体の人物であるということ。京都では山科区内で王将フードサービスの大東さんが銃撃で亡くなられた。京都府警としてこつこつ捜査して行く中で容疑者に行き着いた。それが工藤会系の組員であった。遠距離でもあり、福岡県警に合同捜査の申し入れをさせてもらったら、快諾してもらえた。我々は工藤会になじみもない。情報をいっぱい持っている福岡県警の知見を借りながら捜査していく」

  福岡県警「工藤会対策においては未解決事件の解決が必須である。我々には地の利もある。京都府警とともに本件の全容解明に全力を挙げる。組織の関与も今後の捜査で明らかにしたい」

 ー京都府警から合同捜査本部を依頼されたということだが。

 福岡県警「捜査の中身についてはお話できないが、ただ被害者の方や遺族の方の無念を晴らすために長年懸命に捜査してこられた事件。福岡県警としてもこの事件の全容解明に全力を挙げるのみです」

 ー王将フードサービスの過去の不透明な取引について。福岡でゴルフ場を経営をしていた会社の動きや業績と事件の関連性をどう見ているのか。その会社と田中容疑者の関係は。

 京都府警「当然、原因や動機的なところを捜査するにあたって、大東社長の身分は関連してくる。どのような経営実態があるのかその辺の捜査は進めている。関連性はまさにこれから。被疑者の取り調べを中心に捜査を進め、王将さんにかかわるところは今後の捜査で解明していきたい」

 ー事案概要について。単独なのか共犯なのか。

 京都府警「そこも含めて捜査する。単独犯であるかどうか共犯がいるかどうかもまさにこれから。これから解明するところで、できれば回答を控えたい。共犯の存在も視野に入れて全容を解明するということになる」

 ー被疑者も移送するに当たって、非常に被疑者や移送に関係する警察官、市民も含めて細心の注意を払っている。

 京都府警「移送に当たって重大な事件。被害者の取り調べ等が重要になってくる。被疑者の身の安全をいかに図るか。今回とても大事に考えて実施した結果だ。いろんな対策をとった」

 ー具体例は。

 京都府警「銃撃に対して対策を講じている」

 ー合同捜査本部の規模は。

 京都府警「刑事部長以下137人で立ち上げた」

 ー実行犯とみているが、明確な接点はでてきていないという点ですか。

 京都府警「そういうところは捜査の重要なところ。コメントは控えている。(ヒットマンなのか)実行犯は実際に殺害を行った犯人という意味です」

 ーぬれた路面でタバコの吸い殻を消したという報道もあったが。

 京都府警「当時の捜査本部から正式な発表は一切していない。コメントできない」

 ー9年間の歳月を経て逮捕を至った。ご遺族にどのように報告したのか。

 京都府警「ご遺族には報告して了解を得て。長男さんからのコメントをお手元にお配りいたします」

 ー合同捜査本部は山科署に設置か。

 京都府警「山科署に設置です。福岡県警でも拠点をいただいてそこでも捜査をしている。福岡県警の拠点は差し控えたい」

 ー捜査員で投入した延べ人数は

 京都府警「延べ26万1200人です」

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