焼失の首里城、新聞紙でよみがえる 横浜の定時制高校生3人が制作 千枚加工し忠実に再現 「沖縄の人を元気に」

約千枚の新聞紙で作り上げた「首里城」を前にする比田井佳晃さん(左)と中山総一郎さん=横浜市神奈川区

 神奈川県立神奈川工業高校(横浜市神奈川区)定時制建設科の生徒3人が、火災で焼失した首里城正殿(沖縄県)の模型を、新聞紙で制作した。沖縄の本土復帰50周年を迎えた節目の年に、横浜・鶴見沖縄県人会が依頼。3人は新聞紙約千枚を加工し、半年をかけ、沖縄の文化と歴史の象徴を“復活”させた。実物の正殿は2026年に復元される予定だが、3人は「それまでの間、沖縄の人たちを少しでも元気にできれば」と願っている。

 模型は幅130センチ、奥行き90センチ、高さ60センチ。実物のおよそ50分の1の大きさだ。

 3人は「忠実に再現すること」にこだわった。公開されている設計図と写真を基に、細部の寸法まで算出。枚数を重ねて強度を高めた新聞紙を丸めたり、折ったりしながら、骨組み、外壁、屋根などを作った。屋根の両端にある竜の棟飾りは、小さい三角形に切った新聞紙でうろこを再現。赤瓦は直径約4ミリに細く丸めた新聞紙500本を等間隔に敷き詰めた。屋根や外壁は象徴的な朱色に彩色。「新聞紙で作ってあると驚いてもらいたくて、文字が見える程度に絵の具を薄めた部分もある」と意匠にもこだわった。鈴木伶菜さん(18)は「丁寧に仕上げるのは難しかったが、達成感があった」と振り返り、中山総一郎さん(20)は「リアルを追求した結果、作品に愛着が湧いた」とはにかんだ。

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