静岡県沼津市に2021年誕生した一風変わった工場。工場といってもモノを生産するのではありません。私たちが普段何気なく捨てているものたちがこの場所で新たな活躍の場を得ようとしていました。
沼津市の狩野川沿い。何やら気になる建物があります。中を覗いてみると…、味わいのある家具に数多くの食器、まるで秘密基地のような空間が広がっていました。
<循環ワークス 山本広気工場長>
「僕たち人間がどうやったら環境に負荷を与えないで持続可能な生活ができるかというのを自分たちでも生活して実践しながら、発信している場所」
その名も「循環ワークス」。廃業したさば節工場をリノベーションし、2021年5月にオープンしました。
<循環ワークス 山本広気工場長>
「パフェとか入れるグラスだと思うんですけど、めちゃくちゃかわいいじゃないですか」
ここに並ぶものはすべて捨てられる寸前だったもの。こちらのグラスは100円、お皿も500円と格安です。まだまだ使えるものをゴミとして終わらせるのではなく、この場所で売ることでほしいと思う人へつなげる、ここはまさに“循環”させる工場なのです。
<循環ワークス 山本広気工場長>
「よくリサイクルショップだと思われがちだが、価値あるものをアンティークとして売りたいんじゃなくて、世の中のゴミを減らしたい活動をしている」
燻製室だった場所は、誰でも自由に好きなものを作れる木工室にしました。さらに…。
<循環ワークス 山本広気工場長>
「ここに見えるのが太陽光パネルで…」
このソーラーパネルは使わなくなったもの。こちらも再利用です。誰かがいらなくなったものが、この場所で使うすべての電力を生み出します。
<循環ワークス 山本広気工場長>
「当然、天気が3日間くらい悪くなったら電気消えちゃうし。一般の人って電気を無限に使えると思っている。でも、電気って有限なんですよ。そういうのを知ってもらいたくて」
「こんにちは。油を受け取りにきました」
山本さん、こんなこともしています。やってきたのは函南町のうどん専門店、受け取ったのは?
<循環ワークス 山本広気工場長>
Q.これは何を受け取った?
「天ぷらを揚げた廃油をいただいた。これを濾して車のリーゼルエンジンに入れて使っています」
山本さんが乗っている車は、野菜の天ぷらを揚げ終えた油で走っています。油をろ過してタンクに入れます。この20リットルのタンクで260kmも走れるといいます。
<手打宏房 饂飩亭 遠藤宏さん>
「私どもも廃油の処分に困っていたが、非常に助かっているというのが現状です」
<初めて訪れた人>
「自分のいらなくなった本を置いて、ほしい本があったら持って行っていいよという循環とか、古いものを捨てるんじゃなくて、エコな活動がすごいなと思いました」
<何回も訪れたことがある人>
「いらないものを回収して必要な人に届けている活動は素晴らしい」
こんなにも環境への思いが詰まったこのスペースですが、まだ山本さんの計画の3割しか実現できていないといいます。
<循環ワークス 山本広気工場長>
「回収したリユースの食器を見に来ていただいたりとか、週に何回かリノベーションをしていますので、そちらの方にもお手伝いいただいて一緒に環境について考えられたらいいなと思っています」