マイクロプラ 浮遊長ければ餌と誤認 魚の摂食行動に影響 長崎大研究

プラスチック片を口に入れる金魚(八木准教授提供)

 海洋環境などに拡散するマイクロプラスチックは、浮遊する期間が長ければ長いほど微生物の集合体が付着し、餌と誤認されて魚の口に入りやすくなることが、八木光晴長崎大水産学部准教授らのグループの飼育実験で明らかになった。ただ魚がマイクロプラスチックをのみ込んでしまう行動までは確認できず、さらに詳しい研究が待たれる。
 国際学術雑誌エンバイロメンタル・ポリューションに、このほどオンライン掲載された。マイクロプラスチックが水環境にさらされた時間の長さが魚類の摂食行動に直接的な影響を与えることを示す初めての実験結果だという。
 マイクロプラスチックは自然界に流出して砕かれた5ミリ未満のプラスチック片。世界の川や海で確認され、魚や鳥の体内からも見つかっている環境汚染の象徴。八木准教授らは、野外を漂う期間が長ければより魚に食べられやすくなるのではないかという仮説を立てて実験した。
 3.3ミリのプラスチック片を池の水で培養。培養する期間が長くなればなるほど、プラスチックの表面にバイオフィルムと呼ばれる微生物の集合体が形成されていくことが分かった。
 培養期間ごとに分け、実験体の金魚に対し餌と一緒にプラ片を与えると、培養期間ゼロのプラ片は1匹も口に入れようとしなかったのに対し、培養期間が長くなるにつれ口に入れる金魚の割合が増加。20週間以上培養したプラ片については、35%の金魚が口に入れた。最終的にはどの金魚ものみ込まずに吐き出したが、口に入れる「もぐもぐ時間」は最大800秒で、培養期間が長くなるほど延びる傾向があった。
 金魚がのみ込まなかった理由については、金魚に与えたプラ片のサイズが大き過ぎたのか、金魚がプラ片を餌でないと認識したのか、現段階では判断できないという。八木准教授は「今後、マイクロプラスチックの大きさ、形状、材質などを変えて実験を続け、マイクロプラスチックの培養期間と魚の摂食行動との関連をより詳しく解明したい」と話している。

© 株式会社長崎新聞社