藍染め魅力、連携し発信 那覇、全国の染織家らシンポ

 藍染めと染織の魅力を国内外に発信する「藍魅力発信展覧会2022」のシンポジウムと事例発表(主催・徳島県、共催・琉球新報社)が29日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。第一線で活躍する現代の名工や染織家らが藍や染織の魅力を語るシンポジウムや、研究者による成果発表が行われた。第37回国民文化祭・美ら島おきなわ文化祭2022特別連携事業「藍魅力発信展覧会2022」の一環。 シンポジウムは、綾の手紬染織工房(宮崎県)の秋山眞和氏、大城廣四郎織物工房(南風原町)の大城一夫氏、県立芸術大学名誉教授の祝嶺恭子氏、野々花染工房(山形県)の諏訪好風氏、本藍染矢野工場(徳島県)の矢野藍秀氏、徳島現代クラフト協会会長の米川慶子氏が登壇した。「藍染をはじめとするさまざまな染色の魅力について」をテーマに、徳島の阿波藍や沖縄の琉球藍をはじめ、日本の藍や染織の魅力を論じた。徳島大学副学長の田村耕一氏が進行役を担った。

 秋山氏は「藍はただの青ではなく、黄色や赤が含まれた複雑な色のブルーだ。藍は『ジャパンブルー』と言われ、さまざまなスポーツに引用され、濃藍は縁起の良い場面でも使われる。一つの文化の色だ」と述べた。祝嶺氏は人間国宝の染織家、志村ふくみ氏の言葉を紹介し「色がさえていけばいくほど味わいや愛着が湧く。藍にはそういった魅力があるのではないか」と語った。

 諏訪氏は「日本が海で囲まれ、空と海の青さに親しみがあるように、日本人のブルーに対する愛着が存在している」と語った。

 阿波藍や琉球藍、世界の藍などさまざまな染織りを展示した藍染展覧会が11月6日まで、豊見城市の「おきなわ工芸の杜」で開かれている。名工による作品展示のほか、講習会や若手作家のフォーラムもある。開場は午前9時~午後5時まで。入場無料。

 徳島県商工労働観光部部長の梅田尚志氏は「染織産業の振興と発展を図るために、全国の染織家が連携しブランディングや魅力発信に取り組むことが重要だ」と話した。

 (田中芳)

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