「なつお」の挑戦 滝澤夏央選手の活動報告〈6〉全てにレベルアップを 一年振り返り手応えと反省

 10月9日、今シーズンの公式戦の全日程を終えた滝澤夏央。入団1年目の5月に支配下選手となり、その日のうちに1軍の試合に出場。足を生かして出塁すると、相手の悪送球もあって二塁へ。続くレフト前ヒットで一気に同点ホームイン。翌日もスタメンで起用されると、三塁打を放ち、試合を引っ繰り返すという大活躍で2夜連続でお立ち台に上がった。

今シーズン、足でも魅せた滝澤。リードを取り、先の塁を見据える(球団提供)

 「入団した時の一番の目標だった〝支配下選手〟になることができたのは良かったです。そこからたくさん試合に出場させていただきましたが、いろいろな課題が見えてきたのは事実で、もっと上を目指して頑張っていきたいと思います」と今シーズンを振り返った。
 入団当初はアマチュアとプロ、ファームと1軍、それぞれのレベルの違いに驚き、塁に出た時のリード感や球を飛ばす力の差などに戸惑いながら、付いていくのが必死だった。
 そんな中で特に印象に残っている試合は二つ。一つ目は支配下選手になった翌日に放った三塁打。3点リードを許して迎えた七回、川越の適時打で1点を返し、なおも二死一、三塁の場面で右中間を破る三塁打を放ち同点とした。その後も相手バッテリーのミスで生還し、試合を引っ繰り返したのは、今でも鮮明に覚えているという。
 二つ目は10月1日に代走で出場した際、けん制球でアウトになってしまった試合だ。「痛恨のミスをしたと思いました。準備はできていましたが、帰塁の技術不足でした」と話す滝澤。同点で迎えた最終回、チームの勝敗を分ける瞬間だっただけに、試合が終わってからは涙が止まらなかった。
 「外崎さん、源田さんをはじめ、本当にたくさんの方に声を掛けてもらいました。〝俺らなんて、もっと最悪なミスしてきたよ〟と言ってくださった方もいて、さらに泣いてしまいました」と当時を振り返る。自分の持ち味を生かすためには、帰塁ができることは必須条件。体に染み込ませるべく日々練習に取り組む。
 チームは今シーズン、リーグ3位の成績でクライマックスシリーズに進出。ベンチ入りした滝澤は先輩たちの気合の入り方に驚きながらも、独特な雰囲気に負けたりせず、自らスイッチを入れたという。
 試合の終盤、サードの守備に就いたが、イレギュラーの球に対応できず、出塁を許した。準備はできていたつもりだったが、回転のかかった打球がくること、芝の生え方でバウンドが変わることまで想定ができていなかった。「完全に自分の準備不足で、そこに経験値は関係ない」と言い切る滝澤の表情は19歳とは思えないものだった。
 入団1年目にして、たくさんの経験をした滝澤は、公式戦終了後、すぐに宮崎県南郷町に飛び、フェニックスリーグに参加した。自分の持ち味である思い切りの良い、スピードを生かしたプレーをしっかりアピールすること、帰塁の技術強化、体力強化と全てにおいてレベルアップする気持ちで挑んでいた。
 「公式戦が終わってから、たくさんの方から〝お疲れさま〟のメッセージをもらいました。グループLINEとかではなくて、個別に送ってくれたのはうれしかったですし、こんなに応援してくれている方々がいらしたんだと、あらためて実感しました。いつ新潟に帰ろうか、日にちは決めていませんが、帰省した時には監督さんはじめ、友人などにもしっかりあいさつをして回りたいと思いますし、皆さんの顔が見られると思うと、今から楽しみです」
 1年前まで高校生だった滝澤が、立派なプロ野球選手として新潟に帰省する日はもう目の前だ。(西武ライオンズ広報部)

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