任期満了に伴う中井町長選は30日、投開票が行われ、無所属で新人の前町議会議長の戸村裕司氏(54)が3期目を目指した現職杉山祐一氏(68)を破り初当選を果たした。投票率は61.44%で前回2014年の町長選から3.05ポイント下落し、過去最低を更新した。
戸村氏は「町民の幸せを第一に考えたまちづくり」を主張。観光振興に軸足を置く現町政の人口減対策の成果が上がっていないとして、生活利便性の向上による定住促進を打ち出した。高齢者の買い物の足を確保するオンデマンドバスの拡充のほか、子育て相談ができる「なかいネウボラ」の機能拡大や高校生の教科書代補助などの子育て支援を掲げた。
東京都出身で地縁も血縁もなかったが、これまでPTA活動など積極的に取り組んできたことから若い子育て世代に支持を広げた。組織力で現職の杉山氏に劣ったが、移住者や若年層も多い井ノ口地区の人口密集地を積極的に回って地盤を切り崩した。
杉山氏は小中学校給食費の無償化など2期8年の実績を強調。しかし、人口減少が下げ止まらない現状に有権者の不満や危機感は根強く、戸村氏の追い上げを許す結果となった。
当日有権者数は7663人(男3850人、女3813人)。
◆戸村裕司氏の横顔 東京都生まれで国際基督教大学(ICU)で学んだのをきっかけにプロテスタントの洗礼を受けた。キリスト教の専門紙記者や国際支援のNGO活動にも取り組んだ。2002年に中井に移住し、PTA活動やボランティアに汗をかいた。夫婦2人暮らし。