「タナカヒロカズ」さんがギネス更新!複数の田中さんが立候補したら「田中」票はどうなる!?

10月29日、東京都渋谷区に全国各地から178名の「タナカヒロカズ」さんが集まり、同姓同名の人を集めたギネス世界記録を達成しました。

ギネスの達成へは2011年と2017年にも挑戦。今回からはギネスワールドレコーズ社の規定変更もあり、三度目の正直で悲願の達成となりました。

このように同姓同名が盛り上がっていますが、選挙において同じ名前の人が集まったらどうなるのでしょうか?10月30日に開票が行われた選挙を参考に解説をしていきます。

「増田」さんが二人…、そして同票に…。どうなるの?

さて、その選挙とは千葉県の匝瑳(そうさ)市議会議員選挙です。定数18名に対して21名が立候補した選挙で、最後の1議席が話題になっています。

なんと、2人の「増田」候補の得票数が同数となったのです。

増田 まさよし 候補:415.500票(当選)
増田 きよみ 候補:415.500票(落選)

ここで気になるのが、
①小数点以下の数字って何?
②得票数が同数なのに当落が分かれるのはどうして?

今回はそれぞれについて解説をしていきます。

どちらの得票か区別がつかない場合は「按分(あんぶん)」

地域によっては同じ苗字の人が多いということもあります。実際に、同じ苗字の人が何人も立候補した地方議会選挙も過去、たくさんあります。

そんな選挙で、どちらの得票か区別がつかない場合は「按分(あんぶん)」という処理が行われます。

例えば、「田中A」候補と「田中B」候補が立候補している選挙で投じられた「田中」とだけ書かれてある票は、それぞれの得票数に合わせて分けられます。

「田中A」と書かれた票が800票
「田中B」と書かれた票が200票
「田中」とだけ書かれた票が100票
の場合

「田中A」候補:「田中B」候補=800:200=4:1
となり、「田中」とだけ書かれた票は「田中A」候補に80票、「田中B」候補に20票という割り振りになります。

匝瑳市選挙管理委員会によると、按分の対象となったのは1票であり、2人が415票ずつ獲得していたため、両候補に半分(0.5票)ずつ割り振られました。

得票数が同数の場合は「くじ引き」

得票数が同じ時については、公職選挙法第95条の2項に「当選人を定めるに当り得票数が同じであるときは、選挙会において、選挙長がくじで定める。」とあります。

つまり「くじ引き」で当落を決めるのです。

「選挙会」とは、選挙を管轄する総務省のウェブサイトによれば「各選挙では、開票の結果を開票管理者からの報告によって確認するなどしたうえで当選人を決定する選挙会が置かれます。」とあります。

この選挙会でくじ引きが行われるのです。くじ引きの具体的方法は各選挙管理委員会で決めますが、棒の先に数字が書いてある「棒くじ」が使われ、数字が小さい棒くじを引いた候補者を当選者とする自治体が多いようです。

では、くじを引く順番はどのように決めるのでしょうか。多くは予備抽選として同じように棒くじを引き、小さい数字を引いた候補者から順番で本番の抽選を行います。

2つのことが重なった匝瑳市議会議員選挙の今後は?

匝瑳市選挙管理委員会によると、公職選挙法第202条によって異議申し立てをすることが可能とのことです。

公職選挙法第202条には「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において、その選挙の効力に関し不服がある選挙人又は公職の候補者は、当該選挙の日から十四日以内に、文書で当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に対して異議を申し出ることができる。」とあります。

同選挙管理委員会によると、異議申し立ての期間は10月31日~11月14日。異議申し立ての提出があった場合には、結果が確定するまで時間がかかりそうです。

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