「衣はきつね色カリカリ」全国の名店100店を訪ね、たどり着いたのは子どもの頃に食べた「昭和のとんかつ」【愛情ごはん】

浜松市の遠州鉄道新浜松駅から徒歩5分。「とんかつ佐藤」です。

<とんかつ佐藤 店主 佐藤経景さん>

「お待たせしました。ロースカツ定食です」

<客>

「柔らかくておいしいです」

「甘いし、口の中でとろけるちゃうし、残らないですよ。脂っぽさがない」

看板メニューは、浜名湖の風を受けて元気に育った地域のブランド豚「遠州三元豚」を使ったとんかつです。あっさりしていて柔らかく、脂身に甘みがあるのが特徴。

店主の佐藤経景さん(51)は浜松市出身。

<とんかつ佐藤 店主 佐藤経景さん>

「僕は昭和の生まれで、昭和育ちで、昔からの昭和の味のとんかつを残したいということで、小さい頃に連れて行ってもらったとんかつ屋さんのとんかつが昔ながらのとんかつで、衣はきつね色カリカリの衣のとんかつだったので、それが一番僕の心に残っているとんかつのイメージです」

パン粉は自家製。食パンを手で挽きます。「昭和のとんかつ」を体現するのは、ラードで揚げたサックサクの衣。ジューシーだけど、どこか懐かしさを感じさせます。おススメの食べ方は岩塩で。「遠州三元豚」の甘味が引き立ちます。

店主の佐藤さんは、フレンチなど様々なジャンルの料理人を経てきました。そして、46歳で一念発起。とんかつ屋の開業を目指し、全国の名店100店を訪ねた結果、子どもの頃に食べた「昭和のとんかつ」を店の看板メニューに据えることを決めました。念願の店を2021年4月にオープン。最後まで悩んだのは、使う豚肉の銘柄です。

<とんかつ佐藤 店主 佐藤経景さん>

「ちょうどいい歯ごたえと甘さと、衣にあったお肉は限られた数しかないので。取り寄せは、北海道から沖縄まで日本全国から豚を取り寄せました」

佐藤さんは全国のブランド豚、約200種類を試食。数ある銘柄から3ブランドに絞りました。

ランチの人気メニュー「豚丼」は鹿児島産の厳選黒豚がおススメです。しょうゆ、みりん、酒、ショウガを混ぜ合わせた特製ダレで香ばしさが出るまで焼きます。厳選黒豚の深い味わいの脂が特性ダレと絡み合い、ごはんが進みます。

根強いファンを持つメニューといえば「遠州三元豚」のカツをのせた「カツカレー」です。オリジナルのカレールーは、ジャムやすりおろした野菜、りんごなども加えて煮込むこと3日間。甘めのルーは、とんかつとの相性も抜群です。

<とんかつ佐藤 店主 佐藤経景さん>

「少しでも多くの方に、この店を知ってもらって、懐かしいとんかつだと感じてもらいたい」

「とんかつ佐藤」、辿り着いた「昭和のとんかつ」で、浜松人の日々の活力を支えるべく、奮闘中です。

© 静岡放送株式会社