京王線刺傷事件から1年 鉄道会社の取り組みは

2021年のハロウィーン当日、京王線の車内で男が刃物で乗客を刺し、その後、ライターオイルをまいて火を付けるという世間を震撼させる事件が起きました。たくさんの人が利用する電車内で起きた無差別刺傷事件に、驚いた人や不安を覚えた人も多くいることでしょう。この事件から1年がたった今、各鉄道会社では再発防止に向けてさまざまな対策をしています。

事件が起きた京王電鉄では駅構内や電車内を警備員が巡回し、警戒を強化する対応が取られています。警備員はウェアラブルカメラを身に着けて巡回していて、記録が残るようにしています。さらに10月24日から11月11日までを「テロ・暴漢対策強化」期間として、警備を強化しています。特に10月29日の土曜日からハロウィーン当日の31日までの3日間は危機管理レベルを最高に引き上げて警備員を増員するとともに、仮装での乗車を控えるよう呼びかけています。また、小田急電鉄では2021年の京王線での事件を受けて、全編成の運転台と全ての駅事務室に刃物から身を守る「防刃手袋」と小型の「防護盾」を設置しています。その他、各鉄道会社が自治体や警視庁と連携して、訓練の頻度を増やすなどしていざという時のための対策を行っています。

事件によって「電車内の防犯カメラの設置」も進んでいます。そもそも防犯カメラは痴漢や暴力・すりなどの犯罪行為や迷惑行為を未然に防ぐためといった理由や、映像が犯罪の証拠になるなどの理由から設置が進められていました。京王線での事件では車内に防犯カメラがなかったため、乗客が撮影した映像が証拠になりました。

現在の首都圏の主な鉄道各社の「車内防犯カメラ」の設置状況を見てみると、JR東日本と東急電鉄ではすでに全ての車両に防犯カメラが設置されていて、その他の会社でもこの1年で設置数を増やしています。東京メトロでは2030年度までの全車両の設置予定を6年前倒しして2024年度までに完了する計画に変更したということです。また京王電鉄は映像をリアルタイムで確認できる防犯カメラを2023年度までに全車両に設置することにしています。

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