核禁条約制定に尽力 駐日ジャマイカ大使が講演 レクナ、核兵器廃絶長崎連絡協10周年

「核なき世界に向けた長崎の役割」について議論する登壇者=長崎市平野町、長崎原爆資料館ホール

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)と、官学でつくる「核兵器廃絶長崎連絡協議会」の設立10周年を記念した特別講演会が29日、長崎市であり、核兵器禁止条約の制定に尽力したジャマイカのショーナケイ・リチャーズ駐日大使(50)が、核なき世界に向けた現状や被爆地長崎に求められる役割などについて語った。
 リチャーズ氏は2020年10月から現職。同条約の採択に向けた交渉において中心的な役割を担った。05年に国連の研修で長崎を訪問。被爆者の証言を聞き、被爆の実相に触れたことが自身のキャリアにとって決定的な出来事だったという。
 講演でリチャーズ氏は、ロシアのウクライナ侵攻で安全保障に対する不安感が内外で広まったと指摘。「核兵器の非人道性を理解している長崎から、『私たちの安全は破壊では保障できない』と声を上げてただしていくことが重要」と訴えた。長崎の課題としては「(核の問題を)ジェンダーなど他の社会問題と結びつけ、メディアを巻き込んで日々の生活に関係があることだと知ってもらうことが大切」と指摘した。
 「核なき世界に向けた長崎の役割」をテーマにしたパネルディスカッションもあり、広島在住のジャーナリスト宮崎園子さん(45)は「平和を阻害する社会課題に目を向け、いろいろな人と横断的に議論することで核廃絶を一緒に考える仲間を増やすことが求められている」と述べた。
 レクナは核兵器廃絶に特化したシンクタンクとして12年に設立。核兵器廃絶長崎連絡協議会は県、長崎市、長崎大が同年設立し、レクナの知見を生かした人材育成や市民講座などを展開している。


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