長崎県一般会計補正予算案 子育て支援策に疑問の声 「恩恵ない家庭も」「市町と協議したのか」

 臨時長崎県議会は31日、物価高騰対策などを盛り込んだ89億3100万円の本年度一般会計補正予算案を上程し、予算決算委員会の各分科会で審査した。委員からは大石賢吾知事が最重点テーマに掲げる「子育て支援」関連の施策について、疑問や不満の声も相次いだ。
 今回の補正では、全国旅行支援を利用し県内の高校生以下と土曜に宿泊する場合、買い物に使えるクーポン(休日千円)に子ども1人当たり2千円分上乗せする経費を計上。割引サービスなどを拡充する「ながさき子育て応援の店」に最大20万円を支給する経費なども盛り込んでいる。
 観光生活建設分科会はクーポン上乗せを審査した。堀江ひとみ委員(共産)は12月20日までとなっている期間について「中・高校生は部活動もあり、この期間の利用は困難という声がある」と指摘。近藤智昭委員(自民)は「(旅行に行く余裕がない)ひとり親家庭の方から『私たちには関係ない』と言われた。恩恵を受けない家庭が結構ある。そういう家庭に何かできないか」と注文をつけた。
 永峯裕一観光振興課長は、県立学校の空調経費の公費負担なども計上されていることに触れ、「全体でどうバランスを取るか。こども政策局と、どういう支援の在り方が望ましいか協議したい」と述べた。
 文教厚生分科会は「子育て応援の店」への支援金を審査した。宮本法広委員(公明)は「子育て家庭ではなく、店への支援になっていないか」と指摘。徳永憲達こども未来課長は事業者も物価高騰に苦しんでいるとして「サービスの縮小や、なくなることを危惧している。最終的に子育て世帯の支援につながる」と説明した。
 前田哲也委員(自民)は「もう少し直接的に支援できる事業はなかったか。市町とどれだけ協議したのか」と質問。田中紀久美こども政策局長は「緊急的措置で、市町全体で協議が整うのは難しい面もあり、できるだけ早く、広く子育て家庭に届けられるものは何かを考えた」と答えた。


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