ミシュラン“一つ星”シェフ、都内で活躍中に地元戸田にも店オープン 駅から3分にぎわう 人気メニューは

「町の煮込みハンバーグ」(サラダ、スープ付、税込み1400円)

 JR北戸田駅西口から徒歩3分の「町の洋食 パーラーオオハシ」は、昨年8月にオープンした洋食店。監修を担う料理人の鳥羽周作さん(44)は、東京都内にある一つ星レストランのオーナーシェフという肩書きを持つ一方で、自身が育ち居住する戸田市を「食」で盛り上げようと、地元企業と手を取り店舗づくりに励んでいる。「自分が大好きな戸田の地に根付いた名物店にしていきたい」と、笑顔の奧のまなざしは真剣そのものだ。

 鳥羽さんは学生時代からサッカー一筋で、大学卒業後に県内の小学校教員として社会人になってからもプロを目指したが挫折を経験。それでも「何かに情熱を持って取り組みたい」と、子どもの頃から好きだった料理の道に進んだ。

 当時32歳、同年代の料理人に比べると経験などで後れを取っていたが、持ち前の食への探求心とサッカーで培った体力と向上心を武器に腕を上げ、2018年に東京都内に自身の店舗を開店すると、年に一度、飲食店などを格付けて紹介する「ミシュランガイド東京」で19年から21年まで3年連続で一つ星を獲得。一躍人気シェフの仲間入りを果たした。

 大手食品メーカーとのコラボレーションやメディア出演など活躍の場を増やしている中で、地元に立ち返った理由を「食を通じて地元に貢献したかった」と語る鳥羽さん。「浦和『ステーキハウスペコペコ』や北浦和『娘娘』。自分の食への関心をかきたててくれた店を思い浮かべるとやっぱり地元になる」。

 パーラーオオハシの前身は戸田市周辺で飲食店をドミナント展開している地元企業運営の居酒屋だったが、近年の新型コロナウイルスの影響による外食需要の低下によって大きな打撃を受けたという。

 企業にとっても協業は新しい風を取り込むチャンスで、鳥羽さんのアイデアでワインを売りにしていた業態から現在の洋食業態に転換。店舗の内装からメニューなどを鳥羽さんが考え、店舗の運営を地元企業が行う協業スタイルで苦境を乗り越えた。

 暖色の照明に丸みを帯びた木製のいすやテーブル―。10月中旬の祝日、昭和レトロ感漂う落ち着いた雰囲気の店内には小さい子どもを持った家族連れを中心に多くの客でにぎわっていた。

 人気はサラダ、スープなどが付いたランチメニュー「町の煮込みハンバーグ」(税込み1400円)。ほかにもオムライスやナポリタンなど、王道の洋食を味わえる。戸田市の名を冠したスイーツ「とだのチーズケーキ」(税込み600円)はオリーブオイルと岩塩を添えたこだわりの1品だという。

 とにかく広い年代に親しまれている料理を提供することに重きを置いて「『戸田といえばパーラーオオハシ』と言われるようになりたい」と貪欲さを隠さない。「自分が大好きな戸田で、地域に愛されていておいしい店がある。これ以上最高なことはないです」

 【メモ】町の洋食 パーラーオオハシ 埼玉県戸田市新曽2200の2。定休日は年末年始。午前11時~午後4時まで。午後5時からは居酒屋として営業。

「パーラーオオハシ」の監修を行う鳥羽周作さん=戸田市

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