国天然記念物・アマミノクロウサギ事故死が最多更新 世界遺産登録で増えた観光客の影響か 9月末時点で昨年上回る

道路上に現れるアマミノクロウサギ=徳之島

 環境省は1日、鹿児島県の奄美大島と徳之島のみに生息する国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの2022年の交通事故死が過去最多を更新したと発表した。9月末現在で89件となり、最多だった昨年の78件を上回った。11、12月に活動が活発になることから、「昨年を大幅に上回る可能性がある」と危機感を募らせる。

 世界遺産委員会は昨年7月の登録時、事故対策強化を要請。同省や県、地元市町村は多発地帯でクロウサギが道路へ飛び出すのを防ぐ柵やネットを増設する方針を示しているが、改めて実効性ある取り組みが急がれる。

 奄美大島が68件(前年同期比7件増)、徳之島21件(同4件増)で、両島とも最多を更新。奄美は、これまでと同じ西部の湯湾岳周辺道路や県道湯湾新村線で多発したほか、南西部の国道58号も増えた。徳之島は、北部の県道花徳浅間線の徳之島町手々~金見間で急増した。

 同省の鈴木真理子・希少種保護増殖等専門員は「外来種対策が進み個体数と分布域が増えたことに加え、観光客を含めた車移動が活発になったことが影響した可能性がある」と話した。

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