刑法の性犯罪規定見直し…評価すべき点、今後期待するさらなる改善点は?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。10月26日(水)放送の「ニュースFLASH」のコーナーでは、見直しが進む“刑法の性犯罪規定”について意見を交わしました。

◆暴行・脅迫に加え"拒絶困難”も犯罪の対象に

刑法の性犯罪規定について、見直しに向けた議論が進んでいます。提示された試案では、強制性交罪などの処罰成立要件について、現行では「暴行・脅迫」となっていますが、それに加え上司と部下など関係性の利用で被害者が"拒絶困難”な状態であるなど8項目が例示されました。

また、性交同意年齢が現行の13歳から16歳に引き上げられ、公訴時効についても5年延長。そして、被害時に18歳未満であれば18歳になるまでの期間も追加されます。

さらに、子どもの性被害を未然に防ぐために、新たな処罰対象も提案。性的な画像の撮影や他人に性的な画像を提供する罪の他、わいせつ目的で子どもを手なずける「グルーミング」も処罰対象となります。

◆Z世代は一定の評価も、さらなる課題も!?

臨床心理士のみたらし加奈さんは、「以前は暴行、または脅迫を用いて性交しないと罪に問われなかったが、今回は"拒絶困難”というところで、そこにもいろいろな項目が加えられ、すごく進んだ印象がある」と率直な感想を語ります。

但し、"拒絶困難”な状態は裁判官の裁量によるところが大きいという批判もあることから、「被害者の実態を明らかにしつつ、被害者にちゃんとヒアリングをしながら法改正が進んでいけば」と期待します。

一方、子どもの性被害予防に関してもグルーミングが処罰対象になったことを高く評価。「それこそ被害者支援団体などがきちんと声を上げてきたからこそ」と称えつつ、「グルーミングと聞いただけでは、まだまだわからない人も多く、認知度も低いと思うので、しっかりとメディアが発信していかなければいけない」との指摘も。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、みたらしさんの意見に大きく頷き、「明治時代から変わっていなかった刑法が2017年ぐらいから変わってきて、改めて少しずつ変化していると実感した」と述べ、今回の変更点の中でも特に性交同意年齢の引き上げとなった試案を評価。

そして、「これらがちゃんと機能するように、今は文言とか少し批判も出ているのでしっかりと見ていきたい」と注視。

また、「被害者の方々からの声を集めて発信している団体からは"No means No”と、同意がない性行為は処罰の対象であるという意見があり、イギリスなど海外ではそういった法律が採用され始めている。(日本でも)そうしてほしいという声は以前から上がっているが、今回はその辺りが全く扱われていなかった。そうしたことも必要だと思う」とさらなる改善を求めます。

キャスターの堀潤は「ダメなものはダメ、嫌なものは嫌という同意のためのコミュニケーションを性教育の過程で伝える枠組みを作っていってほしい」と語り、一方で「性暴力被害を受けたときになかなか相談しづらい、警察に届けることさえできない方が圧倒的に多い」と被害者側の苦悩を慮ります。

そして、「相談しやすい、通報しやすい環境。警察が動きやすい環境をいかに仕組みとして作っていくのかが、引き続き残された課題ではないか」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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