観光業復活へ 台東区内で事業者が視察ツアー

台東区で11月1日、観光施設を巡る“事業者向け”のツアーが行われました。参加者は都内屈指の観光スポットを持つ台東区の魅力を肌で感じ、新たな思いを抱いていました。

台東区の観光業復活へ向けて行われた観光施設の視察ツアーには、都内のホテルや旅行会社、観光タクシーなどで働く事業者が参加しました。抹茶を使ったスイーツ専門店「雷一茶 お抹茶体験店」(浅草2丁目)では「京都府産・宇治の一番茶の抹茶を使用して作っている」と説明を受け、製造方法をはじめ、お茶のたて方も学び、奥深い抹茶の魅力を体験しました。

浅草をはじめ上野や谷中など古き日本の街並みが残る台東区には新型コロナの流行前は年間5500万人を超える観光客が訪れていましたが、2021年には2000万人弱へと激減していて、台東区は今回、コロナ禍からの復活を目指してこのツアーを企画しました。谷中5丁目の「カフェ猫衛門」などを見学した参加者は「楽しいですね。何回か店の前を通ったことがあり、招き猫を売っているとは思っていたけれど、店の中まで入ったのは初めて。今度、お客さんをお連れする時の参考になる」(ツアーガイド業)などと話していました。

続いて一行が訪れたのは、東京産の原料と水を使って都内在住の職人が手作業で仕上げるという東京和紙の店「和紙ラボTOKYO」(台東3丁目)です。店の篠田佳穂さんが「薄い和紙は粘り気が必要。粘り気があって水のスピードが落ちると平らな和紙ができやすい」と説明し、参加者は普段なかなか訪れることのない観光施設を直接目で見て肌で触れることで、台東区の魅力を再発見したようです。

旅館業の男性は「上野の者だが、ここまで台東区の中に見どころがいっぱいだと思わなかった。自分が体験してよかったものを前面にお客さんに出したいと思う」、ホテル業界の女性は「自分でやったことを伝えるということは、聞いている側も『やってみようかな』となると思う。本当に貴重な経験をさせてもらった。海外からいろいろ問い合わせが入るので、これから紹介できると思う」と語りました。

各事業者はツアーをきっかけにして区の魅力を細部まで発信し、コロナの影響で落ち込んだ観光業のかつてのにぎわい復活を目指します。

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