消滅可能性都市と言われた埼玉県東秩父村 移り住む若者たちを追う 「若者は山里をめざす」公開決定

消滅可能性都市に挙げられた埼玉県東秩父村に移り住む若者たちを追ったドキュメンタリー映画「若者は山里をめざす」が、2023年1月14日より劇場公開されることが決まった。

「若者は山里をめざす」の舞台となるのは、都心からバスと電車で80分の、標高600メートルの山々が連なる山あいにある東秩父村。映画ではそんな東秩父村に移り住む若者たちが描き出されている。村出身の西沙耶香さんは、高校卒業後に上京したが、「ふるさとを消滅させたくない」と村に戻ってきた。東京出身の高野晃一さんは、地域起こし協力隊に応募して採用された元銀行員。村の特産品であるノゴンボウに着目し村の特産品として開発を進め、移住を決意した。他にも和紙職人を目指す青年や芸大卒の女性らが、村に住む先輩たちと交流しながら生きる知恵を身につけていく。

ナレーションを務めるのは「おしん」の小林綾子。監督・撮影・編集は「無音の叫び声」「武蔵野~江戸の循環農業が息づく」「お百姓さんになりたい」など、農業をテーマにドキュメンタリー映画を撮り続ける原村政樹が務めている。公開されたポスタービジュアルには、村に暮らす若者たちの明るい表情と、美しい山並みや祭りの写真などが並び、「都心からたった60キロの山里は、SDGsな村だった」のコピーが添えられている。

原村政樹監督と、作家の村上龍のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■原村政樹監督

1985年以来、40年近く、農業をライフワークに作品を創り続けてきました。埼玉県で唯ひとつの村となった東秩父村でIターン、Uターンした若者たちが村のお年寄りたちと共に、村の貴重な暮らしの営みを未来に残そうと活動をしている日々の撮影を2019年5月から3年間続けてきました。

3年に及ぶ撮影で50日余り、その他、打合せなどで東秩父村を訪れた日数を含めると100日を超えました。そこで発見したことは驚きの連続でした。恐らくこれだけの時間をかけなければ決して見えない山里に暮らす人々の深い精神性に触れたのだと思います。

東京一極集中に代表される大都市への人口過密が、コロナ禍に象徴されるように、膨大な弊害が顕著に現れています。2040年までに過疎地の市町村の約半数が消滅するとの試算さえあります。山里の自然は、水や空気など、街に暮らす私たちにとっても大切な場所。そこに人が住まなくなれば、貴重な自然環境は荒廃してしまいます。この映画を制作しようと思い立ったのは、そうならないために、山里に暮らす若者が増えて欲しいと願ったからです。その想いを込めてタイトルは「若者は山里をめざす」としました。

■村上 龍(作家)
『若者(青年)は荒野をめざす』という本があった。1960年代だ。呑気な時代だったのだと思う。荒野というのはどこで何を指すのか。いずれにしろリアリティがゼロだ。「若者は山里をめざす」、こちらはリアルにあふれている。若者が触れたものが明確に示される。触れたものへの感動が伝わってくる。太古の昔から、わたしたちはそうやって何かと出会ってきたのだ。

【作品情報】
若者は山里をめざす
2023年1月14日より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
配給:MAP
©2022映画「若者は山里をめざす」製作委員会

© 合同会社シングルライン