気仙沼市の民宿・唐桑御殿つなかんと女将・菅野一代さん追う 渡辺謙が語り 「ただいま、つなかん」公開

©️2023 bunkakobo

宮城県気仙沼市唐桑半島にある民宿「唐桑御殿つなかん」を舞台に、山あり谷ありの半生をたどりながらも持ち前の明るい性格で人々から慕われる女将・菅野一代さんと仲間たちを追ったドキュメンタリー映画「ただいま、つなかん」が、2023年2月下旬より劇場公開されることが決まった。語りを俳優の渡辺謙が担当する。

「ただいま、つなかん」は、東日本大震災で自宅を失い、海難事故で家族を亡くした一代さんと、震災当時に学生ボランティアだった若き移住者たちが、復興のその先を見据えてともに歩み、新たなチャレンジをしていく様子を捉えた、テレビ報道発のドキュメンタリー。監督は、震災発生当時、テレビ報道の現場にいた現役ディレクターの風間研一。本作が初監督作となる。10年以上にわたり長期取材を継続し、全国ニュースで放送されるたびに反響を呼んできた映像に、新たなシーンを加えて1本の映画にまとめあげた。

語りを務めるのは、菅野夫妻や気仙沼と深い関わりを持つ俳優の渡辺謙。2013年に気仙沼の友人たちとともにカフェ「K-Port」を開業した渡辺は、その後も気仙沼に通い続け、地元の人たちとともに未来を作るための取り組みを続け、菅野夫妻とも親交が続いている。本編中には、同じく夫妻と長年親交があり、今もつなかんと一代さんを見守り続けているコピーライターの糸井重里も登場。音楽は、気仙沼出身・仙台在住で、みなと気仙沼大使も務めるジャズピアニストの岡本優子が担当。映画のためにオリジナル楽曲を書き下ろした。

渡辺謙、風間研一監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■語り 渡辺謙
2011年以降、気仙沼に回数がわからないくらい通っているので、一代さんにも何回もお会いしています。彼女が体験したいろんな思いも理解をしているつもりなので、先に原稿と画を見せていただいた時に、不覚にも、原稿に目を移せないくらい感情を揺さぶられてしまいました。本当によく知った人たち、よく見た風景、画面を通して、自分の中にいろんな思いが出てくる作品でした。だからこそ、是非このナレーションをやりたいと思ったんです。

■監督 風間研一

2012年1月、当時ディレクターをしていたテレビ朝日「モーニングバード!」で震災から1年に関する特集企画を考えていたところ、河北新報に載っていた菅野一代さんの記事に出会いました。以来、番組での取材、個人での取材、時にはプライベートでの宿泊で、東京から唐桑へと何度も通いました。
一代さんに初めて会ったのは雪が降り積もるとても寒い日で、学生ボランティアにワカメの仕分け作業を教える一代さんの声だけが、明るく元気に響き渡っていました。その後、いつ行っても「つなかんに一代さんがいる」ことは変わりませんでしたが、周囲の人々や地域の環境は、行く度に“変化”がありました。唐桑の町に、かつての学生ボランティアが次々と移住し、「つなかん」を中心としたコミュニティが新たに作られていく過程を目にし、驚くと同時にとても嬉しく、貴重な現場に立ち会えている喜びを感じました。「つなかん」という場所とそこに集う人々を見つめ続けて、様々な経験を共有させてもらった大切な“時間”を映画にしたい。いつしかそう考えるようになっていました。それから3年、紆余曲折ありましたが、和享さんと一代さんに導かれて、ここまで来ることができました。この間、1人の取材者として私自身も「つなかん」に育ててもらったと思っています。
先が見えにくい世の中で、自分の進む方向をどこか見失っている人もいるでしょう。そんな人をはじめ、多くの人に是非、この映画を見て欲しいと思います。きっと“何か”を感じるはずです。一代さんや気仙沼に縁のある皆様の力を結集して作ったこの映画から、未来に繋がる新たな“きっかけ”が生まれることを願っています。

【作品情報】
ただいま、つなかん
2023年2月下旬より、東京&仙台にて劇場公開(ほか全国順次公開)
©️2023 bunkakobo

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