埼玉文学賞の受賞者決定 小説部門・正賞、飯能の小川さんが受賞 生きにくい現実社会、寄り添う優しさ描く

小川公朗さん

 埼玉新聞社が創設し、埼玉りそな銀行が特別協賛する「彩の国 埼玉りそな銀行 第53回埼玉文学賞」の受賞者が決まった。小説部門の正賞には飯能市の小川公朗(きみお)さん(64)の「かまくら」が選ばれた。詩、短歌、俳句部門は正賞の該当作がなく、それぞれ準賞を2編ずつ選んだ。

 小説部門正賞の「かまくら」は、両親から育児放棄されて祖母と2人つましく暮らす少年と、東北から出稼ぎに来た男との心の交流を描いた作品。生きにくい現実社会を生きる少年と、それに静かに寄り添う優しさを描いている。

 準賞には、詩部門が群馬県前橋市の関根由美子さん(77)の「水の日」と、さいたま市見沼区の菅野浩芊(ひろしげ)さん(76)の「会葬」。短歌部門は朝霞市の立原ようこさん(76)=筆名=の「生きたい」と、さいたま市桜区の河竹由利さん(69)の「花柄ブラウス」。俳句部門は所沢市の木村佑さん(39)の「頬杖(づえ)」と、さいたま市浦和区の服部早苗さん(75)の「猫よ叱叱(しっしっ)」が選ばれた。

 賞金は小説部門の正賞が100万円。詩・短歌・俳句部門の準賞はそれぞれ15万円。授賞式は15日にさいたま新都心のホテルで行われる。第53回埼玉文学賞は5~8月に作品を受け付け、4部門の応募総数は過去最多の1107点に上った。

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