2氏に田辺市文化賞 短歌の石井さん、花の古守さん

田辺市文化賞受賞者

 和歌山県田辺市は2日、市の文化発展に貢献した個人をたたえる市文化賞を、長年にわたって地域の短歌文学の振興に努めてきた南紀短歌連盟会長の石井和子さん(90)=上富田町南紀の台=と、市民ぐるみで花いっぱい運動に取り組んできたNPO「花つぼみ」理事長の古守一晶さん(78)=田辺市新万=に贈ると発表した。

 石井さんは高知県生まれ。22歳の時に田辺市に移り住んでから短歌を始め、秀でた作品を生み出してきた。

 1984年には市中央公民館との共催による「南紀短歌大会」を提唱し、「南紀短歌連盟」を結成。大会は本年度で39回を数える。

 90年に結成した短歌結社「登花歌人会」を主宰。93年に設立した「短歌サークルしおさい」のほか、初心者向けの短歌教室でも指導者を務めるなど、愛好者の育成に力を注いでいる。

 石井さんは「薫り高い文化を擁する田辺市にて短歌を唯一の生きがいとして、歌にかかわるお仲間とはこの世で逢(あ)うべき深いえにしで結ばれたものと、かりそめならぬ思いで共に研さんを積んできた。今後もこの地の海山の圧倒的な精霊の力を享受しながら、命ある限り努力を続けたい」と話している。

 古守さんは白浜町生まれ。家業の縫製業を営む一方で、地域の環境を良くしようと仲間に呼びかけ、83年に「花つぼみ会」を結成。資金を出し合い、近所の公園や道路沿いの空き地に四季折々の花を植えるボランティア活動を始めた。

 大きな市民活動に育った「花いっぱい運動」をより発展させるため、99年にはNPO法人を設立。その活動が評価され、会としてこれまで「緑化推進運動功労者内閣総理大臣表彰」など数々の賞を受けている。

 古守さんは「一途一心、多くの人との出会いを重ねながら歩んできた。次から次へと試練は限りなく訪れながらも、多くの皆さまのご理解とご協力のもと継続できたことに、改めて感謝の気持ちでいっぱい。これからも『花いっぱいのまち 誇れる田辺市』を目指し、一歩一歩積み重ねていきたい」と話している。

 市文化賞は、旧田辺市で1970年に創設した制度を継承しており、53回目。受賞者は今回を含め80人となる。贈呈式は22日に市役所である。

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