柿崎区柿崎の浄福寺で10月30日、亡き寺族が寄贈した「親鸞聖人の群像」がお披露目され、多くの門徒ら関係者が故人をしのんだ。
寺族(衆徒)の大杉照勝さんは同寺に3代にわたり従事し、優しい人柄で親しまれていたが、7月14日に病気のため77歳で亡くなった。浄福寺には親鸞と同寺を開基した初代、善順坊(俗名・井上忠長)とのやりとりの一場面「川越の御名号」(令和3年度上越市地域の宝認定)が伝わる。現28代目、井上陽雄(ようゆう)住職(65)も望んでいたその絵図の像を、大杉さんは生前ためたお金で発注し、「大きな贈り物」として残した。
群像は親鸞と蓮位坊、善順坊と妻の4体であり、善順坊がひざまずき、親鸞にお供をする決心を表している。銅を中心にスズと亜鉛でできており、台座には群馬県産の三波石が使われている。
同日の先代住職の十三回忌、前坊守の一周忌、前々坊守の七回忌法要に合わせ、境内に設置された群像が除幕された。井上住職は「浄福寺にとって貴重な宝物になる。皆さんと大事に守っていきたい。残念ながら大杉さんに見てもらうことはできなかったが、きっと傍らで見てくれていると思う」と話した。
大杉さんの姉の神谷法子さん(80、千葉県市川市)や弟の大杉正信さん(72、横浜市)ら遺族、群像の製造業者や石工者、多くの門徒らが訪れ、像を慈しみ、大杉さんの優しい姿を思い出していた。