5年間 死亡事故ゼロの町 20年以上 子どもたち見守る「あいさつおじさん」 広島

広島・世羅町で死亡事故ゼロの期間が5年を超えました。それを支えているうちの1つが、日々、子どもたちの見守りを続ける地域の人たちです。その思いとは?

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林亨さんは、この日も学校近くの横断歩道に立っていました。

林亨さん
「おはよう。元気でした? 渡れるかな? 渡れる? OK」

蛍光色のジャケットに交通安全ののぼり旗がトレードマーク…。地域の人や子どもたちからは「あいさつおじさん」として親しまれています。

林亨さん
― 晴れの日以外も見守り?
「雨が降っても風が吹いてもやりが降っても…。かわいい生徒たちが声をかけてくれると、元気も出ますしね」

現在、82歳。1999年から自宅近くの中学校の校務員を3年間勤め、校門で生徒会と一緒にあいさつ運動をしたことがきっかけで20年以上、登校する小・中学生の見守り活動をほぼ毎朝、続けているといいます。

― 元気です。行ってきます!
「いってらっしゃい!」

林さんにこれまで子どもたちからもらった手紙や色紙などを見せてもらいました。

林亨さん
「思い出であるとともに宝物ですね。文章で書いてくれると、余計に思い出になります」

小学生が書いたこちらの作文…。タイトルは「地域のヒーロー」です。

林亨さん
「見守ってあげれば、運転手さんも意識するだろうし、生徒たちも見守ってくれていると思って、ルールを守らないといけないなと思ってくれれば」

世羅町では、死亡事故が起きないまま、5年を迎えました。

この日、林さんには警察から感謝状が贈られました。

世羅警察署 久保裕史 署長
「小中高生の交通ルールを守るという気持ちが世羅町は高いというのもあり、このような良い成果が出ているのだと思います」

死亡事故ゼロの日数が、広島県内の市や町で最長を更新中の世羅町…。その陰に、林さんのような人たちの毎日の地道な協力があるというのです。

林亨さん
「毎朝、『おはよう』と言って、元気で行ってきてね。元気で帰ってきてねと。そして、元気で帰ってきてくれたら。笑顔で『ただいま』が1番のおみやげ」

林さんは、これからも見守りを続けていきます。

― JAF(日本自動車連盟)が調べた「信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとした時の車の一時停止率」です。広島県は、2018年がわずか1%で、全国ワースト2位を記録。少しずつ改善し、ことしは50%となっています。全国平均は上回っていますが、半数の車が一時停止していないという結果です。

― 林さんのような人たちの地道な努力というのもありますが、ハンドルを握るわたしたち1人ひとりの心がけが大事です。

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