貯蓄額100万円と500万円の人でここまで違う「今後どんな金融商品を買いたい?」の調査結果から見える、貯蓄が多い人、少ない人の違い

「あなたは、今後どんな金融商品を買いたいですか?」と聞かれたら、どのように答えるでしょうか。

今回は調査結果から、貯蓄が多い人、少ない人、それぞれの「欲しい金融商品」を見ながら、その違いを探っていきましょう。


貯蓄によって、「欲しい金融商品」が大きく違う?

貯蓄が多いか、少ないかによって、「どんな金融商品が欲しいか」が変わることをご存じでしょうか。

今回は、「家計の金融行動に関する世論調査・単身世帯(令和3年)」の調査結果より、その違いについてお届けします。(本記事での「貯蓄」とは、金融資産保有額のことを指します。翌日のカード引き落とし代など、日常的に使うためのお金ではなく、祖父来のために備えている貯蓄や運用のためのお金を「貯蓄」とします)。

貯蓄の少ない人、中くらいの人、多い人のをA~Cの3つのカテゴリーに分けて見ていきましょう。

Aタイプ・・・貯蓄100万円未満(貯蓄0の人を除く)
Bタイプ・・・貯蓄500~700万円未満
Cタイプ・・・貯蓄3000万円以上

「今後どんな金融商品を保有したいか」について、「預貯金」「株式」「株式投資信託」「個人年金保険」「積立型保険商品(生保・損保)」の6つについて、Aタイプ~Cタイプの回答をお伝えします。(一番割合が多かったタイプに★印をつけます)。

今後保有したい金融商品で「預貯金」と答えた人の割合は?

A)貯蓄100万円未満(貯蓄0の人を除く)の人…60.8%★
B)貯蓄500~700万円未満の人…51.9%
C)貯蓄3000万円以上の人…32.8%

貯蓄が少なければ少ないほど、「預貯金を持ちたい」と思う人の割合が多いことがわかります。貯蓄がたくさんあれば、それ以上の預貯金は必要がありませんし、貯蓄があまりなければ今後貯めていきたいと思うものですので、納得がいく結果でしょう。

今後保有したい金融商品で「株式」と答えた人の割合は?

A)貯蓄100万円未満(貯蓄0の人を除く)の人…19.8%
B)貯蓄500~700万円未満の人…25.6%
C)貯蓄3000万円以上の人…38.3%★

「株式」の保有希望は、貯蓄100万円未満の人は約2割ですが、貯蓄3000万円以上の人は約4割と、貯蓄が多い人ほど割合が多いことがわかります。

株式は、リスクがある投資性商品の一つです。貯蓄があまりないうちは「元本割れが怖い」「減ったら嫌だから、手を出せない」という人も多いでしょう。貯蓄が増えていけば、お金に対する不安感が減り、さらにその貯蓄を増やすために「リスクをとって、株式にチャレンジしてみよう」と前向きになる方も増えると思われます。

今後保有したい金融商品で「株式投資信託」と答えた人の割合は?

A)貯蓄100万円未満(貯蓄0の人を除く)の人…18.0%
B)貯蓄500~700万円未満の人…15.5%
C)貯蓄3000万円以上の人…25.1%★

「投資信託」という言葉は耳にする機会が多いと思いますが、「株式投資信託」と、頭に「株式」がつくと、よくわからない方もいるかもしれません。

簡単に解説しますと、「投資信託」の投資先が、主に「株式」なのが、株式投資信託です。不動産に投資するものなら、REIT(=リート。不動産投資信託ともいいます)といい、債券に投資するものなら、債券型投資信託と言われることもあります。

「株式投資信託」は、投資先が主に「株式」になるため、前項目と同じように、貯蓄が増えれば増えるほど、保有希望者が増えることには納得がいくでしょう。

今後保有したい金融商品で「個人年金保険」と答えた人の割合は?

A)貯蓄100万円未満(貯蓄0の人を除く)の人…9.0%
B)貯蓄500~700万円未満の人…14.0%★
C)貯蓄3000万円以上の人…8.1%

「個人年金保険」を保有したいと答えた人の割合は、貯蓄が増えれば増えるほど多い、または少ないという法則には当てはまりませんでした。

「貯蓄100万円未満の人(9.0%)」や「貯蓄3000万円以上の人(8.1%)」よりも、「貯蓄500~700万円の人(14.0%)」の方が、割合が高かったのです。

これは決してたまたま、ではないようです。続いて次の質問と回答もご覧ください。

今後保有したい金融商品で「積立型保険商品(生保・損保)」と答えた人の割合は?

A)貯蓄100万円未満(貯蓄0の人を除く)の人…4.9%
B)貯蓄500~700万円未満の人…8.5%★
C)貯蓄3000万円以上の人…4.7%

「積立型保険商品(生保・損保)」を保有したいと答えた人の場合も、「貯蓄100万円未満の人(4.9%)」や「貯蓄3000万円以上の人(4.7%)」よりも、「貯蓄500~700万円の人(8.5%)」の方が、割合が高いという結果でした。

「個人年金保険」と「積立型保険商品」は、ともに貯蓄型の保険です。株式は怖いけれど、預貯金では超低金利でなかなか増えないと感じる人が検討することが多いでしょう。保険機能(万一のときに保険金が出るなど)もあるため、いわば、保険と貯蓄のセット商品というところに、魅力を感じる人もいるようです。

貯蓄が少ない人は、「保険」という新しい方法で増やすよりも、まずは身近な預貯金でお金を増やしたいと考えるでしょう。また、貯蓄3000万円以上と貯蓄がたくさんある人は、保険は別の方法で加入しており、資産を増やすためには、リスクを取って株や投資信託などに投資したほうが効率的だと考えているのかもしれません。

貯蓄500~700万円と、資産が増えてきた人にとって、保険と貯蓄のセット商品は魅力的に感じるのでしょう。

ただし、貯蓄性保険は、超低金利の今は、その低い金利が長期間続いてしまうので、お金を増やす目的であれば別の手段をおすすめします。また、中途解約をすると大きく元本割れする可能性があるため、長期でマネープランを立ててから検討する必要があります。

貯蓄が少し増えてきたからこそ、気になりがちな「貯蓄性保険」ですが、デメリットも理解をしたうえで、検討する必要があります。

貯蓄があればあるほど、資産がさらに増える流れ?

先ほどの結果では、「貯蓄100万円未満の人」は預貯金を、「貯蓄500~700万円未満の人」は貯蓄型の保険を、「貯蓄3000万円以上の人」は株や株に投資するタイプの投資信託を検討する傾向が、比較的あることがわかりました。

株式や株に投資するタイプの投資信託は、リスクはありますが、大きく増やせる可能性もあります。

株に投資するには、数万円~数十万円、さらに投資先を分散させるためには100万円以上の大きなお金が必要ですが、株に投資するタイプの投資信託なら、金融機関によっては月100円からでも積み立てができます。貯蓄が3000万円以上なくても、月々の100円からの投資資金であれば、誰でも今すぐ始められるでしょう。

元本保証ではないため、一時的に元本割れをする場合もありますが、積み立てによってどのような資産の増減があるのか、世の中のニュースにどんなふうに連動しているか、ということも、実際に投資をすることで身をもって感じることができます。

金融リテラシーを身につけることにもつながりますので、貯蓄が少ないという人でも、まずは投資信託の積み立てを超少額で体験してみるのも一つの手でしょう。相場は上がり下がりの波がありますので、短期的に結果を求めず、5年、10年と長く続けることで、経験値をあげられ、資産形成につなげるきっかけの一つになると思います。貯蓄がたくさんある人、資産を増やせる人のマインドを少し理解することにもつながります。

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