7月参院選は沖縄「合憲」 1票格差、原告は上告 高裁那覇支部「不平等状態と言えず」

 「1票の格差」が最大3.03倍だった7月の参院選は、投票価値の平等に反して違憲だとして、県内の弁護士が県選挙管理委員会に選挙無効を求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)は2日、「合憲」と判断し、請求を棄却した。原告側は即日上告した。 7月の参院選を巡って全国14の高裁・高裁支部で起こされた16件の訴訟で9件目の判決で、合憲判断は4件目。今月1日に仙台高裁が「違憲」としたほか、4件で「違憲状態」との判決になっている。7月の参院選は、議員1人当たりの有権者数が最少の福井選挙区と最多の神奈川選挙区の格差は3.03倍で、沖縄選挙区は1.85倍だった。

 谷口裁判長は判決理由で「国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤だ」とし、格差の是正を図り、拡大させないようにするため必要な方策を議論し、取り組みを進めるべきだと指摘した。

 一方で、最大3.00倍だった2019年選挙から今回の選挙までの間の格差拡大は「さほど大きなものと言えない」と指摘。「参院改革協議会」で議論が重ねられるなど国会でも取り組みが進められているとして「違憲の問題が生じるほど著しい不平等状態だったとは言えない」と判示した。

 原告の齋藤祐介弁護士は、判決後の記者会見で「今のところは合憲だが、是正の義務はあるという判決だ。われわれの主張と大きく異なる判断がされたわけではなく、ある程度理解している」と述べ、判決を前向きに捉えた。

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