変わる新宿エリア エンタメタワー&XR体験施設…さらに“猫の交番”も登場

東京都内各地で大規模な再開発が進む中、新宿駅周辺も大きく変化しそうです。国内最大級のエンタメタワーや最新のXR体験スポットなど注目施設がめじろ押しで、さらに、駅東口で人気となっている3D映像を投影している大型ビジョンに新たな仕掛けが加わりました。

新宿駅東口にある大きなビジョンで人気の"巨大な3D三毛猫”に、11月2日から新たに「猫交番」の動画の投影も始まりました。猫は警察官の帽子をかぶった姿で登場し、犯罪に巻き込まれないよう「だまされニャいで」と通行人に呼びかけます。猫の立体映像は新宿区内の4つの警察署が合同で制作したもので「新宿東口の猫交番」とキャッチフレーズが付けられ、毎日投影される予定です。

現在、新宿駅周辺では大規模な再開発が相次いでいます。11月2日には、西武新宿駅の目の前に建設が進んでいる劇場・映画館・ライブハウスといったエンタメ施設とホテルが一体となった「東急歌舞伎町タワー」の開業日が2023年4月14日と発表されました。また開業に当たって、施設全体で世界的な人気を誇る「エヴァンゲリオン」の世界観を楽しめるコラボイベントが開催されることも発表されました。東急歌舞伎町タワーの敷地にかつて存在していた「新宿ミラノ座」は劇場版エヴァンゲリオンのメイン上映館としてファンの間では"聖地”として知られていて、劇場のこけら落とし公演には舞台版初となるエヴァンゲリオンが上演されます。開発を手がける東急・新宿プロジェクト企画開発室の木村知郎室長は「歌舞伎町には『世界一の繁華街』という長い歴史がある。この長い歴史を大切にしながら、今までにないものを発信していくことで『エンターテインメントシティー・歌舞伎町』という役割を果たしながら新宿全体を盛り上げていきたい」と語りました。

駅周辺の最新施設は西口にも誕生しました。新宿駅から徒歩1分のところに11月1日に小田急電鉄が開業させたのが、XR特化型複合施設の「NEUU(ニュー)」です。XRとはVR=仮想現実、AR=拡張現実、MR=複合現実といった技術の「総称」で、この施設ではクリエーターの育成のほか、一般の人も体験することができます。NUEUUはクリエーターが最新デバイスをレンタルして作業ができる「ワークスペース」と、新製品などを展示する「ショールーム」、そして著名な国際映画祭のVR部門でノミネートされた作品を楽しめる「体験スペース」の3つで構成されています。体験スペースでは最新のVR技術を用いた作品の中に体験者自身が参加することによって物語が進む作品など、新しい映像体験を手頃な値段で誰でも楽しむことができます。

XRの施設を開業させた狙いについて、小田急電鉄の星野晃司社長は「箱根に向かうロマンスカーの中で景色を楽しむのもいいが、XRが登場して、その空間が非常に面白いエンターテインメント性、あるいは興奮するような空間が作れるのではないか。われわれが持っているリアルの魅力にXRの持つ新しい魅力を掛け合わせることで、今までになかった大きな新しい価値をお客さまに提供したいと考えている」と話し、現実の観光資源とデジタルの融合を将来的に目指していきたいとしています。

<東京都が実現目指す 仮想空間に"もう一つの東京”>

街の進化には「デジタルの活用」もポイントになってきます。東京都ではデジタル空間を使った一大プロジェクトが進行しています。

東京都が進めるのは"デジタルツインを実現するためのプロジェクト”です。デジタルツインとは、現実空間のさまざまな情報を仮想空間に"双子のように”再現したものを指します。つまり「仮想空間にもう一つの東京を丸ごと作ってしまおう」というようなプロジェクトです。これを行うためには現実空間の数多くのデータを収集する必要があります。国や自治体のオープンデータやリアルタイムで配信されているデータなどを集め、全てを仮想空間に凝縮していきます。こうして作り上げられた仮想空間では、例えば「防災」のために地震や水害などのシミュレーションをしたり、「街づくり」として「建物を建てたら日照条件はどうなるのか」「人の流れはどう変わるのか」など予測や分析に使ったり、さまざまな分野で活用できるということです。

東京都は2030年のデジタルツインの実現を目指して検討を続けていて、現在インターネット上で体験できるサイトを公開しています。建物の名称や住所、階数や構造などの情報が地図に結び付けられていて、さらに地図に反映できるさまざまな他の情報・データを入れ込むことができます。『統計・国土数値情報』から河川の情報を入れて『東京都水防チャンネル 河川監視カメラ』を選び、気になる場所の現在の河川の様子を見ることもできます。このように、さまざまな情報を地図上でまとめて見ることができるのがデジタルツインの利点です。現在はまだ開発中ですので、今後さらに見やすく情報も集まってくるものと思われます。

多岐にわたるデータが仮想空間に集まることで、今までにはない新たな発見が生まれそうです。街の発展やサービスにデジタルがどのように活用されていくのか、今後も目が離せません。

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